2024年11月、広島県内企業とスタートアップ企業をマッチングするイベント「-TSUNAGU広島-2024」(株式会社ひろぎんホールディングス、株式会社広島ベンチャーキャピタル、株式会社中国新聞社主催)にて、日本M&Aセンター 代表取締役社長 竹内直樹さんが「M&Aを活用したオープンイノベーション」と題して基調講演を行いました。広島県三次市出身の竹内社長は、地元あるあるや広島のM&A事例も交えながら、さらなる成長実現のための手段の一つとして、M&Aの活用についてお伝えしました。
竹内社長は講演の冒頭、高校卒業までを過ごした地元・三次市の実家に帰省した際のエピソードとして「中学や高校で慣れ親しんだ飲食店や雑貨店がどんどんなくなってさみしさを感じた」と打ち明けました。「後継者問題や少子高齢化が背景にあるものと思うが、なんとかM&Aで解決したいという想いをずっと持っていた」とし、今回地元・広島での講演の機会をいただけたことへの感謝を述べました。
講演では、全国規模でM&A件数が大きく伸びていることや、中堅・中小企業のM&Aのイメージが時代によって変化し、現在では経営戦略オプションの一つとして捉えられていると紹介。広島県のM&A事例として、後継者不在問題背景としたサンフーズとブルドックソースの事例や、広島ドラゴンフライズとNOVAホールディングスの事例に触れました。
その一方で、企業1万件あたりの都道府県別のM&A件数(中小企業庁による都道府県別のM&A件数/2022年度)を見ると、広島県は全国で第26位とM&Aが十分に浸透しているとはいえない状況であると指摘。その背景として「特に地方では、競争環境が大きく変化しにくい中で、リスクを考えると成長戦略としてのM&Aに関してはアクティブに動けていないのではないか」と分析しました。
M&Aの普及によりリスクが増えたものの、M&Aを行わないことによるリスクも重大となりうる可能性もあると強調。中小企業白書のデータを用いて、売上や経常利益の観点からM&A実施・未実施の企業を比較し、M&Aをしないことによる成長機会の損失リスクが存在すると解説しました。また、小売りにおけるネットショッピングの発展を例に、都市部との大差はなく、競争環境の激化により地方おいてもM&Aの重要性、緊急性が高まってきていると伝えました。
そうした状況において、M&Aはオープンイノベーションの一つの手段であり、非連続的な成長を描ける経営戦略として活用していただきたいと呼びかけました。「広島は今、戦後に起業した方の多くが事業承継のタイミングを迎えている」とし、今こそ未来を見据えた経営戦略を考えるチャンスでもあると力説しました。
そして、安心・安全なM&Aのための日本M&AセンターやM&A仲介協会の取り組みについても紹介しました。最後に竹内社長は「日本M&Aセンターの中四国支店の支店長は福山市出身、副支店長は呉市出身、そして私は三次市出身。広島を想うメンバーがしっかりサポートさせていただくことをお約束します」と講演を締めくくり、盛況の中幕を閉じました。
「-TSUNAGU広島-2024」は広島県内を中心とした事業者と国内外のスタートアップを “つなぐ”場を提供する広島初の大型イベントで、2日間で3,400名超が来場しました。
イベントには広島県を含む全国のスタートアップ約 120 社が出展したほか、広島県を代表する企業であるマツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 毛籠勝弘氏や、広島県福山市出身の衆議院議員 小林史明氏らによる基調講演が行われました。
小林氏の講演では「これからはM&Aが必要となる時代。ぜひ積極的に活用していきましょう!日本M&Aセンターの竹内社長の講演も聞いてくださいね!」と壇上からPRいただくなど、広島でのM&Aの認知と理解を広げる機会となりました。