
日本M&Aセンターは、全国の会計事務所と「日本M&A協会」を組織し、強固なネットワークを基盤にM&Aの普及と支援体制の拡充に取り組んでいます。全国の会計事務所と向き合う、会計事務所提携部 提携推進部長の永井 功太郎さん、会計コンシェルジュのメンバーに、取り組みと想いを聞きました。(前編)
※役職・肩書は取材当時。
日本M&Aセンターは、地域を代表する税理士・公認会計士が経営する全国1,111の事務所(2026年3月末時点)とネットワークを構築し、「日本M&A協会」として組織化しています。2012年の発足以来、中小企業の友好的M&Aの普及を目的に、会計事務所と連携した支援体制を広げてきました。
日本M&Aセンターと提携する税理士・公認会計士の先生方を「理事会員」とし、国際会議や理事総会、支部会などを通じて、M&A業務の専門家として活躍できる環境を提供しています。勉強会や共同セミナー、職員面談など、事務所ごとに最適な支援を行うことで信頼関係の構築や潜在ニーズの発掘につながり、商談にも結びついています。
近年は、約35年分のノウハウを体系化した「どの施策を、誰に、どのように活用するか」を整理・可視化することで、どの会計事務所でもM&A支援を実践しやすい環境づくりを進めています。
こうした取り組みを支えているのが、会計事務所提携部 提携推進部長の永井 功太郎さんを中心とした「会計コンシェルジュ」のメンバーです。2018年の発足以来、約8年間にわたり、全国の会計事務所との関係構築やサポートに取り組んできた皆さんに、それぞれが持つ想いや取り組みについて話を聞きました。
永井 功太郎さんは、会計コンシェルジュの役割について次のように語ります。
「立ち上げ当初は、会計事務所との関係構築を通じてM&A案件の発掘をサポートする専門チームでした。しかし、時代の変化とともに役割は大きく変わっています。現在は単なる案件創出にとどまらず、会計事務所や顧問先企業の未来を考える“きっかけ”を生み出す存在へと進化しています。M&Aのニーズは必ずしも顕在化しているものではありません。だからこそ、日々の対話の中で潜在的な課題や想いを丁寧に拾い上げる力が求められます。営業力だけでなく、知識やフットワーク、多角的な視点が必要です。難しさもありますが、それだけにやりがいも大きい仕事です。」

前職は大手旅行会社で法人営業を7年間担当し、ハワイ駐在も経験した横田さん。
「旅行会社時代は日本M&Aセンターの法人担当として、理事会員の先生方に、協会のビジョンを共有しM&A業務や会計事務所経営について考える場として年に1回開催している国際会議の手配などに関わっていました。当時から会計事務所の先生方と接点が多く、“先生方と一緒に何かをつくっていく仕事”に魅力を感じていました。現在は200事務所ほどを担当していますが、私が意識しているのは“エリア戦略”よりも、“それぞれの事務所の色に合わせること”です。成功している事務所の取り組みを仕組み化して、他の事務所でも再現できるように横展開していくことは、自分の強みの一つだと思っています。また、先生だけでなく職員向けの勉強会も実施しています。M&Aをもっと身近に感じてもらい、“まずは相談してみよう”と思っていただける関係性づくりを大切にしています。」

和田さんは前職の大手不動産会社で、相続や資産承継領域において税理士事務所と10年以上連携してきました。「私は前職時代から、税理士の先生方と一緒に地主や経営者の課題解決を行っていました。その経験があるので、会計業界への理解は深かったと思います。日本M&Aセンターに入社を決めた理由は、“先生方と企業、その先のお客様をつないでいく”というビジネスモデルに強く惹かれたからです。現在は理事会員制度の刷新にも関わっています。35年間積み上げてきたノウハウやツールを整理・体系化し、“誰でも取り組める形”に変えていくことに力を入れています。最近は、会計事務所でM&Aを事業化したいというニーズが増えています。だからこそ、勉強会や職員面談、共同セミナーなど、先生方が取り組みやすい仕組みをしっかり整えていきたいです。最終的には、会計事務所で働く皆さんが幸せになれるような仕組みをもっと広げていきたいと思っています。」

川又さんは広告代理店やスタートアップでの経験を経て、2024年に日本M&Aセンターへ入社しました。「前職で実際に従業員としてM&Aを経験したことが、この業界に興味を持ったきっかけです。東京エリアは競争も激しく、すでにM&Aに詳しい先生方も数多くいらっしゃいます。そのため、単なる情報提供ではなく、“先生方のキャリアにとってどんな価値があるのか”まで考えて接するようにしています。M&Aは、やったことがないと少しハードルが高く感じるかもしれません。しかし実際に一歩踏み出してみることで、大きな案件や新しい未来につながることが多いんです。ぜひ私たちに背中を預けていただきながら、一緒にチャレンジしていただけたら嬉しいです。」

前職は製造業でBtoBの海外営業を担当し、家電メーカーや自動車メーカーとの協業を通じて幅広いビジネス経験を積んできた山口さん。自身が在籍していた企業で事業譲渡・譲受を経験したことをきっかけに、「M&AやPMIを広めたい」という思いを抱き、2020年に日本M&Aセンターへ入社しました。
「前職では、自社の事業譲渡・譲受を一社員として経験し、M&Aが企業や従業員に与える影響を間近で見てきました。その経験から、企業の成長や存続を支えるM&Aの意義を実感し、この仕事に挑戦したいと考えました。現在は税理士会との連携強化や各種イベントの企画・運営を担当しています。特に東海エリア では多くのイベントを開催し、先生方に知識を深めていただくだけでなく、先生方同士の交流の場づくりにも力を入れています。会計事務所経由でご紹介いただく案件は当社の中でも高い成約率を誇っていますが、その背景には先生方の日頃の学びや積極的な情報交換があると感じています。私自身も先生方との対話を重ねながら、一人ひとりのニーズに合わせた情報提供を心掛けています。今後も東海エリアの先生方との交流機会をさらに増やし、M&Aに取り組みやすい環境づくりを通じて、企業の発展に貢献していきたいと考えています。」

新卒で証券会社へ入社し営業を経験した伊藤さんは、2022年に日本M&Aセンターへ転職しました。「証券会社時代に、自分のお客様をM&A会社へ紹介した経験があります。その時、“企業の未来を左右する大きな仕事”に強く魅力を感じたことが、この業界に入るきっかけでした。現在は愛知・岐阜・三重から浜松エリアまで担当しています。最近は「M&A強化塾」の企画に特に力を入れていて、私が名古屋で始めた取り組みが全国に広がっていきました。“気軽に参加できる場づくり”も意識し、幅広い年齢層の方が楽しめるボウリングイベントを企画したところ、若手職員の方々も来てくださるようになりました。今後は、まだ開拓が進んでいない地域にもさらに入り込んでいきたいと思っています。」

証券会社で14年間営業を経験した後、2020年に日本M&Aセンターに入社し3年半の育児休暇を経て復職した三田さん。「復職後、最初に意識したのは先生方にもう一度思い出していただくことです。育休前は税理士協会への働きかけを中心に活動していましたが、休職期間中は塩田さんや橋本さんがしっかりフォローしてくださいました。これからは自分自身がしっかり先生方に価値を返していきたいと思っています。以前からお付き合いのある先生方とまた新たな関係を築きながら、これからも関西エリアを盛り上げていきたいですね。」

後編では、引き続き会計事務所提携部 会計コンシェルジュたちの挑戦について話を聞きます。