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サーチファンドサミット2026初開催 事業承継の新たな選択肢「サーチファンド」の可能性に迫る

サーチファンドサミット2026初開催 事業承継の新たな選択肢「サーチファンド」の可能性に迫る

後継者不在問題が深刻化する中、事業承継やM&Aの新たな選択肢として注目をされているのが「サーチファンド」です。そのサーチファンドによる事業承継の新たな可能性を探る「サーチファンドサミット2026」が初開催されました。

当日は100名超が来場し、全国の地域金融機関50行を含む金融機関・メディアなど幅広い参加者が集い、事業承継・経営人材・地方創生といった課題をテーマに、活発な議論が交わされました。


サーチファンドサミットで事業承継の最新動向を議論

本サミットは、政策・金融・M&A実務のプレイヤーが一堂に会し、サーチファンドの意義と今後の活用可能性について、多角的な視点が共有される場となりました。主催者である日本サーチファンド(J-Search)や一般社団法人金融財政事情研究会の登壇のほか、金融庁による基調講演と、地域金融機関トップによるパネルディスカッションが行われました。

サミットの副題は「地方創生におけるサーチファンドの活用と金融機関の目指すべき方向性」。サーチファンドが単なるM&Aの手法にとどまらず、地方創生にいかに貢献しうるのか、また地域金融機関における取組の展望が語られました。

金融庁 監督局銀行第二課長 小野 浩二氏

 政策の視点から見る課題と展望

開会にあたり、一般社団法人金融財政事情研究会 理事長の加藤 一浩氏より挨拶。続く基調講演では、金融庁監督局銀行第二課長の小野 浩二氏が登壇し、日本企業が直面する構造的課題について解説しました。中小企業における後継者不在率は依然として高く、地域によっては6割を超える状況です。事業承継の問題は、個々の企業にとどまらず、地域経済全体に影響を及ぼす構造的な課題となっています。

近年、M&Aの活用は広がっていますが、支援機能や専門人材は都市部に集中しており、地方では体制整備が十分とはいえません。そのため金融機関には、従来の資金供給に加え、事業承継や経営改善に踏み込んだ「伴走型支援」への役割拡大が求められています。こうした中でサーチファンドは、経営人材と企業を一体で捉え、承継と成長を同時に実現する新たな手法であることから、地域経済の持続的な発展に寄与する可能性が示されました。

「大廃業時代」のための新しい起業の形

日本サーチファンド 代表取締役社長 大槻 昌彦さん

続いて、日本サーチファンド 代表取締役社長 大槻 昌彦さんが登壇し、サーチファンドの仕組みと意義について解説しました。
サーチファンドとは、投資家から資金を調達した「サーチャー(経営者候補)」が企業を買収し、自ら経営を担うモデルです。ゼロから事業を立ち上げるのではなく、既存企業を引き継ぎ成長させる“1→10型”の起業といわれています。特に人材不足が深刻な地域企業との親和性が高く、経営者自らが企業を引き継ぐ仕組みであるため、従来のM&Aに比べて理念の引き継ぎや経営の一貫性が保たれやすい点も特徴です。

現在、日本は約60万社が黒字にもかかわらず後継者不在により廃業の可能性を抱える、「大廃業時代」を迎えています。こうしたなか、サーチファンドは経営人材不足の解消に加え、地方への人材流入(Uターン・Iターン)を促し、地域経済に新たな循環を生む可能性を持っています。米国で誕生したサーチファンドが、日本でも急速に普及し、地方創生の重要な手段の一つとして発展していくことが期待されています。

地域金融機関トップが語るサーチファンドの可能性

モデレーターを務めた日本M&Aセンターホールディングス 代表取締役社長 三宅 卓さん

パネルディスカッションでは、日本M&Aセンターホールディングス 代表取締役社長 三宅卓さんをモデレーターに、株式会社九州フィナンシャルグループ 代表取締役社長 笠原 慶久氏、株式会社十六フィナンシャルグループ 代表取締役社長 池田 直樹氏が登壇しました。

● 経営人材不足という根本課題

株式会社九州フィナンシャルグループ 代表取締役社長 笠原 慶久氏

笠原氏は、人口減少や人材流出により経営者人口そのものが減少し、後継者不在が構造的に深刻化している現状を指摘。従来の親族承継や一般的なM&Aだけでは対応しきれないケースが増えているといいます。
そのうえで、サーチファンドについては「やる気のある経営人材に来てもらい承継していく」新たな選択肢として有効であるとし、今後こうした仕組みが普及することで、地域に経営人材を継続的に供給する「人材インフラ」として機能していくことへの期待を示しました。「経営人材の不足」については笠原氏・池田が共通して地方企業における最大の課題として指摘されています。

● 外部人材が生むイノベーションと地域波及

株式会社十六フィナンシャルグループ 代表取締役社長 池田 直樹氏

池田氏は、外部人材の参画が企業に新たな発想をもたらし、事業変革や地域への波及効果につながる点に言及。実際の事例として、外部人材の参画により新たなビジネスモデルが生まれ、地域産業に波及したケースを紹介し、サーチファンドの持つ成長可能性への期待を強調しました。また、新たな産業集積地を創り出すことができるかが今後の地域経済の成長を考える上で大きなポイントであること、「事業会社への売却」に限らない多様な承継オプションの重要性についても言及がありました。

両金融機関トップによる対話を通じて、サーチファンドが単なる事業承継の枠組みにとどまらず、企業に新たな変革をもたらし、成長を加速させる“第二創業的な手法”として大きな可能性を秘めていることが分かるセッションとなりました。

満足度98%!高まるサーチファンドへの関心

参加者アンケートでは、「満足」が約9割、「やや満足」を含めると98%と、非常に高い満足度が得られました。また、サーチファンドへの取り組み状況については、約半数が「情報収集中」であり、一部は「新たに取り組むことを検討中」と、認知から実務検討への移行が進みつつあることが明らかとなりました。
さらに、約7割が「事業承継課題の解決になりうる」と回答し、約3分の1が「自社でも取り組みたい・詳しく知りたい」と回答するなど、実際の取り組みに向けた関心の高さがうかがえます。

サーチファンドは事業承継の次のスタンダードとなるか

サーチファンドは単なるM&A手法ではありません。経営人材・企業・地域をつなぐ、新たな仕組みといえます。今後、金融機関や支援機関との連携が進めば、地域に経営人材を供給する「インフラ」としての機能も現実味を帯びてきます。後継者不在問題の解消にとどまらず、企業成長や地域経済への波及という観点からも、その重要性は今後さらに高まるでしょう。
日本の社会課題に応える新たな選択肢として、サーチファンドのさらなる広がりに注目です。