日本M&Aセンター東京本社で記念撮影する参加者
日本M&Aセンターと海外のM&Aアドバイザリー企業でつくる「World M&A Alliance」は2024年10月11日から2日間にわたり、年次カンファレンスを日本M&Aセンター東京本社で開催しました。World M&A Allianceは世界最大規模の独立系M&Aアドバイザリー企業が加盟する国際的な枠組みで、アメリカ、イギリス、インドなど世界20か国の企業で構成されています。今回のカンファレンスは初の日本開催で、日本M&Aセンターがホスト企業として世界17か国から集まった30名の参加者を迎え入れました。各国の参加者のM&A市場の動向や事例などを発表し、クロスボーダーM&Aやコーポレートファイナンス分野での連携強化を目的に情報交換しました。
イタリアで1998年から400件以上の成約実績を誇り、中小企業向けのM&A市場のリーディングカンパニーとして地位を確立しているFineurop Soditic社のギルベルト・マッカーリオ氏は、「近年はITやAI産業に注目しており、まだディール規模は小さいものの、今後は拡大していくでしょう」と発言しました。
スペインやポルトガルで製造業、ヘルスケア、小売業界などの中小企業向けにM&A支援を提供するArcano Partners社はこれまでに200件近いM&Aを支援し、そのうち約4割がクロスボーダーのM&Aを占めています。同社のソフィア・メンデス氏は「M&A事業だけではなく投資銀行グループ企業として、投資業務や経済調査などを通じて、顧客をサポートしていきたい」と強調しました。
2009年設立のフランス企業「Inspirit Partners」社は、企業価値が500万ユーロから1億ユーロの中小企業を中心にM&A支援と資金調達サービスを提供しています。同社のティエリー・ハッサナナリー氏は、フランス国内の中小企業マーケットの不況感に触れ、直近の成約事例や進行中のディール情報を共有し、参加者からの意見やマッチングアイデアを募りました。
「M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取り扱い企業」としてギネス世界記録を持つ日本M&Aセンターから代表取締役の三宅卓が登壇し、「中小企業向けM&Aのノウハウ」をテーマに語りました。日本では今後、少子高齢化の進展で生産年齢人口の急減が予測されています。三宅は「日本の素晴らしい技術を持ち、日本経済を支える中小企業の成長戦略にM&Aが不可欠となっている。経済成長が著しいASEANと日本の企業をつなぐことで、次の成長ステージに導きたい」と話しました。
日本M&Aセンターで海外事業の立ち上げを担ったシンガポール現地法人の西井正博マネージャーは、クロスボーダーM&Aにおける企業評価をテーマに講演。貸借対照表の純資産に着目したコストアプローチが日本では主流と語り、中小企業経営者の平均年齢が60歳を超えて後継者不在を理由にM&A件数が増えていることを解説しました。
クロスボーダーM&Aを実行した企業責任者も外部講師として登壇し、グローバルで低温物流事業を手掛けるニチレイロジグループと、オランダを中心に化学製品や食品添加物製品を取り扱う商社「IMCD」の代表者らがクロスボーダーM&Aにおける成長戦略や投資実行のメリット等の事例を紹介しました。
カンファレンスでは講演のほか、グローバルマッチング会議やオフィスツアーも実施。グローバルなM&Aネットワークを通じて、世界のM&Aマーケットの活性化に向けて今後も連携を強化していきます。次回は2025年10月ごろにイタリア・ミラノで開催予定です。
Arcano Partners(スペイン)
Blacktrace(オランダ)
CP Investments(ポーランド)
England & Company(アメリカ)
EU Advisory(トルコ)
Fimecap(メキシコ)
Fineurop Soditic(イタリア)
Goodbody(アイルランド)
Inspirit Partners(フランス)
JMB Advisors(ブラジル)
M.M.Warburg & CO(ドイツ)
Nihon M&A Center(日本)
Wodehouse Capital Advisors(インド)
M&Aマガジンより転載:World M&A Allianceカンファレンスが日本初開催、世界17か国・30名が集結