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シリーズ「レジェンドに聞く」 ベテランM&Aコンサルタントに聞く仕事への心構え

この記事の目次

シリーズ「レジェンドに聞く」 ベテランM&Aコンサルタントに聞く仕事への心構え

西日本事業法人部 藤田 知己さん

シリーズ「レジェンドに聞く」 今回は2010年入社のベテランM&Aコンサルタント 西日本事業法人部の藤田 知己さんに、13年のキャリアを振り返り、M&Aコンサルタントという仕事の醍醐味や今後の展望などを聞きました。


裁量があるからこそどんなときも絶対に崩さないルーティン

—入社したきっかけを教えてください。

前職は地方銀行で働いていました。法人営業を6年、為替とデリバティブのディーラーを7年していました。しかしディーラー業務を担当していたときに、リーマン・ショックが起こり、担当していたデリバティブ業務をすべて失いました。翌年異動しましたが、気持ちが切れてしまい転職を決意しました。転職活動時、さすがに今はもうやっていないかもしれませんが、日本M&Aセンターは採用面接を夜の9時に設定してくれました。日中に面接だとなかなか受けることができなかったので、夜の9時に面接をしてくれるなんてなんていい会社なんだろうと思い入社しました(笑)。
当時日本M&Aセンターは頻繁に銀行と共催でM&Aセミナーを行っていたので、行内の掲示板で社名を見たことはありましたが、直接的な関わりはありませんでした。

—入社後はいかがでしたか。

当時は、朝は自主的に7時くらいに出社する人も多く、よく働く人が多い会社だと感じました。数字へのこだわりは強いですが、働き方やスケジュールなど様々な面で裁量が任されていて私は嬉しかったですね。最初はダイレクトで譲受け企業を探す法人営業を5ヵ月、その後会計事務所と連携して営業活動を行う部署に1年間所属し、また法人営業に戻り、そこから10年間法人営業を担当しました。直近2年は金融機関と連携して営業活動を行う部署で、またこの4月から法人営業を行っています。日本M&Aセンターの異動は一律ではないのですが、比較的多い方かもしれません。

提携先である会計事務所や金融機関と一緒に業務を行う「ネットワーク系」の部署と、自分で譲受け企業を探す「ダイレクト系」の部署と両方を経験し、それぞれに良さと難しさがありました。
ネットワーク系は、提携先の方々と一緒に仕事をするので企画や調整などの業務も多いのですが、良い関係を築き仕組み化できれば、レバレッジを利かせより多くの後継者不在企業を救うことができます。
一方で、ダイレクト系の部署は自分が主体で活動します。どの企業に訪問するか、どんなアプローチをするか、全て自分で決めることができます。裏を返せば、効率を考え戦略的に動かないとただ自由なだけで終わってしまいますので、自分の腕が問われます。私の場合は自由に動ける方が合っていました。3つの部署を経験してみて、譲渡企業オーナーの気持ちや譲渡企業担当者の気持ちもわかるようになり、銀行の案件ならではの論点もわかるようになりました。

本音を聞き逃さない、常に平常心でお客様に寄り添う

―M&Aコンサルタントとしての心構えを教えてください。

私はコンサルタントとして大事にしていることが5つあります。
1つ目は、常に平常心でいること。M&Aには多くの人の人生がかかっています。これまで大事に育ててきた会社を譲渡するのは簡単ではないですし、譲り受ける側にとっても非常に大きな投資になるので、厳しい言葉をかけられることもあります。また、普段は明るくフレンドリーな経営者でも、商談に入るとネガティブな本音が出たりします。ただそういう時こそ、平常心で言葉を返すように心がけています。お客様が焦っていても、「この問題は乗り越えられる」と思っていただけるよう冷静にかつ重くなりすぎないように伝えます。

2つ目は、知ったかぶりをしないことです。M&Aに関してはプロである必要がありますが、お客様の業界に関してはプロである必要はないと思うようにしていて、わからないことは、お客様に確認するというスタンスでいます。

3つ目は、徹底的にお客様に寄り添うこと。自分の意見や考えとは違うと感じる局面もありますが、お客様の気持ちを汲み取るようにしています。必ずしも肯定する必要はありませんが、お客様に寄り添うことは大事ですね。

4つ目は、社内でも社外でも謙虚な姿勢でいること。例えば譲受け企業を担当しているときは、他の担当者が受託してくれて初めて仕事ができるわけです。そのため周りに感謝しながら、いつも謙虚な姿勢でいるようにしています。

最後は、どんなことでもいいので毎日少し成長する、何かを身につけて学びを得ることです。1万時間の法則といわれるように、毎日少しずつ成長すれば、その積み重ねが大きなものになります。ある業界のマッチングポイントについて学んだでもいいし、お客様のビジネスモデルが理解できたでもいい、些細なことでいいので学び成長し続ける必要があると思っています。

ひとつとして同じM&Aはなく、毎回違う業種に就いたように新鮮

―M&Aコンサルタントを続ける理由はなんですか。

日本M&Aセンターで仕事を続けてきたのには大きく2つの理由があります。

1つ目は、M&A仲介の仕事が面白いからです。M&Aは譲渡企業と譲受け企業がこれまで培ってきたさまざまなドラマがあり、ひとつとして同じものがありません。ある意味で応用が利かないんです。そのため、一言でM&A仲介業務といっても、毎回違う業種に就いたというくらい内容が違っていて、大変だけれど面白くて常に新鮮です。

2つ目に、成長業界であることが大きいです。大きく成長しているところに身を置くことができ、とても良い経験になっています。ただもっと言えば、目の前のお客様への対応や目標達成だけではなく、広い視野でM&A動向を洞察し、数年先を見据えて動くべきだったのではと思うこともあります。私が入社した当時は、全社的にアナログに行き当たりばったりで動いていた部分もあるので、業界の未来を考えた動きをしている人は少なかったです。

―これからM&A業界を目指す人にメッセージをお願いします。

M&Aのコンサルタントというと、ハードとか厳しいというイメージが先に出てくると思います。それ自体は否定しませんが、一方で厳しさ以上のやりがいや達成感のある仕事です。今の若手コンサルタントは、スペックが高く、理解力があり、物怖じせずに話すことができて、総じて優秀です。20代で経営者と対等に話せる環境にいること自体がすごくうらやましいです。

恵まれた環境にいることに感謝して、楽しんで仕事をしてほしいですね。私も若い人にも負けず成約100件を目指していきたいです。


プロフィール
日本M&Aセンター 西日本事業法人部 グループリーダー 藤田 知己(ふじた・ともみ)
1974年生まれ。福井県出身。慶応義塾大学理工学部卒。
1997年北陸銀行入行後、法人営業を6年、為替とデリバティブのディーラーを7年行う。2010年11月に日本M&Aセンターに入社。