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データマーケティング部 藤田舞さん
DX戦略の実現・加速に必要なデジタル人材を確保するため、社員のデジタル教育に注力する「リスキリング」への注目度が世界的に高まっています。企業にとって重要であるだけでなく、社員にとっても、スキルや知識を学び変化に対応する力を身に着けられるという大きな意味を持ちます。
日本M&Aセンターでは2021年12月より、Salesforce活用によるDX推進のため、Salesforce社内資格制度の運用を開始。さまざまな部門・職種の社員が資格取得にチャレンジし、約8か月で140名超(社員の1割超)が取得し、受講希望者が殺到する人気資格になりました。
活用推進を担当する日本M&Aセンター データマーケティング部 藤田舞さんに現状を聞きました。
※2024年2月2日に、日本DX人材センター(日本M&AセンターHD子会社)を設立し代表取締役に就任
—資格制度をはじめた経緯は。
当社では、成長による事業規模の拡大に伴って社内情報の共有が課題となり、2014年にSalesforceのクラウドサービスを導入しました。現在では、M&A案件や顧客情報等の一元管理を実現し、M&Aにおける企業と企業の最適なマッチングを支援するツールとして全社員が利用しています。
おかげさまで社員からは、システムを活用するにあたっての要望や問い合わせがいろいろと上がってくるようになっていたのですが、当部の人材も限られており、すべての要望にタイムリーに応えることはできていませんでした。
社内資格制度を企画したのは、とある管理系の部署の中途入社社員にSalesforceの活用方法を基礎から1か月で教えてほしいと頼まれたことがきっかけです。その方はこれまで、Salesforceをまったく使ったことがなかったにもかかわらず、研修を経て見事にSalesforceを使いこなせるようになり、自部門の業務改善に大きく貢献するようになりました。
それを見て、この仕組みを全社に広げれば、全社員がSalesforceを活用し、それぞれの部署の業務改善が促進されるはずだと確信したのです。部内でディスカッションを重ね、役員にも相談し、初級資格(MDA=Management Data Analyst)と上級資格(MDD=Management Data Designer)の2コースを設定しました。これらの資格制度はセールスフォース・ジャパン社からも認められています。
社内資格とはいえ、初級資格(MDA)でも取得に最短でも半月はかかります。業務の合間などに講義受講や課題実施が必要となるのですが、全社員会議での制度発表後に申込みが殺到。受講数か月待ちという状況にまでなりました。社員のスキルアップへの熱量や、現場のDXの必要性をあらためて強く感じました。
—資格取得後の変化はあらわれていますか。
資格認定時には、各部門の業務改善をテーマに卒業発表をしてもらうのですが、その際、受講者の部長にも発表を見てもらう仕組みをつくりました。当然部長は自部門の生産性向上に関心を持っていますが、日々の目の前の業務が忙しくなかなか取り組めていないというのが現実です。そんな中で、自部門の業務改善に関する発表を直接見てもらうことは非常に効果的で、アイディアをすぐに現場で活用してもらうことも多々あります。資格取得者は、Salesforceでのレポートやダッシュボードの作成など自分でも簡単にできるようになり、卒業後も各部門のSalesforce活用をリードしてくれています。
最近では、部長クラスの受講希望も増えていて、全国各地の営業部門・間接部門に所属する新卒社員の22歳から60歳の140人超が資格を取得してくれました。制度を開始する前は、こんなに多くの人に関心を持ってもらえるとは予想していなかったので、非常にうれしく思います。
多くの社員にとってスキルアップは有益なことだと考えています。長く働くことを考えると、誰もがずっと120%の力を出し働き続けられるわけではありません。出産や育児、介護、病気など、さまざまな事情を抱え、一時的に仕事をセーブしなければならないこともあるかもしれません。あるいは担当する業務内容や組織体制が変わる可能性もあります。
自身を取り巻く状況が変化する場面でも、全力を尽くしてイノベーションを起こしたいときでも、資格取得を通じて得た知識やスキルが役に立ち、多くの人のキャリアや働き方の選択肢が広がることが私の理想です。
今でこそ、Salesforceに蓄積された営業ノウハウや事例に基づき適切な人材育成を行い、各部門・会社の戦略立案や意思決定の役に立つようなシステムにはなりましたが、ここまでたどり着くのは本当に大変でした。
いくら便利で重要なシステムを導入したとしても、使いこなすのは社員ひとりひとり。一朝一夕でどうにかなるものではありません。
もともと新しい企画をすることやイノベーションを起こすことが評価される社風というのもありますし、経営陣をはじめ、多くの人の協力が協力・支援してくださったからというのは大きいです。
そのうえで、目の前に課題が次々に現れてもあきらめず、多くの要望に向き合い対応してきたからこそ、「情報は財産」という文化が全社にしっかり根付いたのだと思います。
2022年9月14日に行われたセールスフォース・ジャパン主催「第10回Salesforce 全国活用チャンピオン大会」大企業部門の決勝戦で、日本M&Aセンター データマーケティング部の藤田が優勝しました。
当日は、当社のSalesforce導入から浸透までの約9年間の歴史、会社が急拡大していく中で直面した課題の解決や、多くの関係部署を巻き込んだ定着化メソッド、社内IT人材育成ノウハウを発表しました。
プレゼンテーション動画は下記よりご覧いただけます。
Salesforce導入企業の担当者が活用事例や成果を発表し、「技術」「業務改善」「定着化」の3つの観点で評価されるイベントです。
M&Aマガジンより転載【SFUG CUP 2022優勝者が語る】リスキリングの促進で社員の意識を改革!DX推進担当の想いに迫る