刑事から営業に転身し、2023年3月に日本M&Aセンターに入社した九州会計事務所部 針崎 登志郎さん。刑事と営業の仕事には共通点があるといいます。長崎・五島列島出身で、今も九州で暮らす針崎さんに、地元への想いも聞きました。
―針崎さんは警察官(刑事)からM&Aコンサルタントという異色のキャリアですね。
はい。大学卒業後に地元で警察官として就職し、28歳の時に外資系保険会社に転職しました。自分の実力がそのまま成果に反映される仕事がしたいと思い、保険営業を選びました。
保険の営業はとても楽しく、人の役に立っている実感もあり、お客様にもたくさんついていただきました。一方で、法人のお客様の中には過疎化で未来に希望が持てず、自分の代で会社を清算した社長もいらっしゃり、産業や雇用を守り、地域の課題解決に貢献できる仕事がしたいという想いがわきました。
M&Aコンサルタントという仕事であればそれが叶えられ、自分にとっても新しい挑戦になると考えたことから日本M&Aセンターに入りました。入社後は九州支店で会計事務所と連携しながらM&Aをご提案していく部署に所属し、主に九州の譲渡企業を担当しています。
―過去の経験が、営業職に生きていると感じるところはありますか。
仕事は突き詰めると結局「人対人」ですから、全く違う仕事ながら本質的な部分は一緒だと思います。情報を得るためには協力者との信頼関係の構築が欠かせませんし、取り調べでは相手の本音や供述を引き出す交渉力などが必要です。刑事時代に身に着けた対人スキルは、間違いなく営業の仕事にもつながっていると思います。
―M&Aコンサルタントとして九州を回る中で感じることはありますか。
人情味あふれる社長が多くいらっしゃいますね。Web面談よりも足を運んで直接お会いして、いろいろなお話をしながら信頼関係をつくるコミュニケーションが好まれる印象を持っています。また、九州で活動する中では地元出身ということを好意的に捉えていただく機会が多いです。私は長崎県の五島列島の生まれでずっと九州で暮らしているので、地域の話題も積極的にするようにしています。
以前、お客様から「五島列島の人だからお願いしたいと思った」とご連絡をいただいたこともありました。「地元が同じ」というのも、自分が選ばれる理由になり、武器の一つになるのだと感じました。地元を愛していて、今は「福岡五島人会」の会長もしています。
―それはどういう集まりなんですか。
その名の通り、福岡在住の五島列島出身者の集まりです。年に数回飲み会などで集まるのですが、そこからお客様をご紹介いただいたり、会合に呼んでいただいたりと、新たなつながりも生まれています。
―日本M&Aセンター入社後に、挫折を感じたことはありましたか。
入社2年目の年に、社会人生活で初めて目標達成ができませんでした。前職、前々職時代は、課せられた数字目標を下回るなんてことは考えられなかったので、かなり落ち込みました。自分の実力不足やM&A仲介の難しさ痛感し、どうやったら本当にお客様に喜んでいただけるのかを改めて考え直すきっかけにもなりました。
振り返ってみると、2年目はお客様の気持ちの面への配慮の足りなさから、いろんな要素がかみ合わなくなってしまっていました。3年目を迎えた今年は、その反省も踏まえて、本当にお客様にとってベストなご提案ができているか、同じ方向を目指してM&Aを進めることができているか、少し俯瞰的に状況を見ながら進めることを意識しています。
―やりがいに感じるのはどんな時ですか。
一番は社長から感謝の言葉をいただいた時ですね。直近でご支援した企業が、後継者がいないものの、なかなかM&Aの決断まで至らず受託まで1年半ほど時間がかかったんです。その後は複数社とのトップ面談を通じて社長の意思も明確に固まり、スムーズに成約まで進んでいきました。社長は以前、別のアドバイザーともやりとりをしていた背景があり、成約後には「すべては針崎くんと出会えたおかげ。これ以上先延ばしにしていたら従業員を路頭に迷わせることになっていた。一緒になって真剣に会社のことを考えてくれて本当にありがとう」とおっしゃっていただき、泣きそうになるぐらいうれしかったです。
M&Aは時間がかかりますし、かけた時間と比例して必ず結果が出る仕事でもありません。困難な局面も多いですが、成約後の社長からの感謝の言葉には報われますし、本当に人のためになる仕事ができた、役に立ててよかったと心から思いますね。
―九州支店は最近移転しましたが、雰囲気はいかがでしょうか。
オフィスも開放的で広くなり、若いメンバーも多いのでにぎやかで和気あいあいとしています。支店の中では所属部署こそ分かれていますが、部署の垣根なく誰とでも気軽に相談し合ったり、仕事終わりにはよく飲みに行ったりしています。
―プライベートと仕事の両立はいかがでしょうか。
今年4人目の子供が生まれまして。五島列島のビッグダディです。平日は専業主婦の妻に任せきりになっているので、土日のどちらかは家族の時間を取ってどこかに連れて行ったり、遊んだりしています。
―最後に今後の目標をお願いします。
M&Aを通じて、自分の暮らす九州をもっとよくしていきたいです。九州でもM&Aは増えてきているとはいえ、首都圏に比べればまだまだ伸びしろがあるので、M&Aがもっと身近なものになるように啓発活動をしていきたいです。
会計事務所の担当として引き続き事務所との関係強化はもちろんですが、自分ならでは、地元ならではのネットワークも築いていきたいです。これからも人とのつながりを大切にし、出会えてよかったと思っていただけるようなコンサルタントでありたいと思います。
プロフィール
日本M&Aセンター コンサルタント戦略営業部
針崎 登志郎(はりさき・としろう)
1990年生まれ、長崎県五島列島出身。
福岡大学卒業後、警察官として最年少優秀刑事賞受賞。外資系保険営業ではMDRT(世界上位基準)を毎期連続達成。2023年3月に日本M&Aセンター入社。
会計事務所と提携する部署に所属し、九州エリアを中心に成約実績を持つ。趣味は4人の子どもと遊ぶこと。