IT・スタートアップ業界専門のM&Aコンサルタントとして実績を上げ続ける、日本M&Aセンター 業種特化事業部の竹葉 聖さん。日々どのような考えや想いを持ち仕事をしているのかを聞きました。
日本M&Aセンターには2016年10月に入社しました。前職は公認会計士として監査法人で働いていて営業経験はありませんでしたが、成果と収入が連動する環境で営業にチャレンジしたいと考えていた時に、たまたま日本M&Aセンターの会社説明会を受けていた当時の上司から、「竹葉君に合いそうな会社見つけたよ(笑)」と勧められ、翌日には試験に応募しました。M&A仲介は、営業として動かすことができる金額がトップクラスに大きいと感じていました。前職時代も大型M&Aに関与していましたが、中小企業M&Aのほうが、より経営者やその会社に近い立場で手触り感をもって業務に携われるのではないかと思い入社を決めました。
とはいえ、公認会計士から営業へのピボットは、スポーツで言うとサッカーから野球に戦うフィールドを変えるくらい、まったく異なるものです。
営業として働く上で、一番意識したのは思考と行動の切り換えです。立ち止まって考えすぎて、頭でっかちになってしまわないように、ほどよく楽観的に動くことは意識しました。
営業はある程度勢いも大切ですし、多くの経営者に会うための行動量が大事です。足が止まってしまうと成果にはつながりません。
あとは、「誰よりも営業らしくしよう」と心掛けていました。たとえば、優秀な人が使っているペンとかノート、読んでいる本に至るまでとにかく全部真似をしました。最終的には住む場所も真似て引っ越したり(笑)。 営業経験がなく本当に0からのスタートだったからこそ、先入観にとらわれず、新たなことを受け入れられたのかもしれません。転職で成功するのは、OS(前職で成功した考え)だけ持ってきて、アプリ(実績)は置いてくる意識だと感じています。
また、元々自分にあまり自信がないこともありますが、自己流でいくよりも成功している人を真似るほうが効率がいいんですよね。特に入社当時は、自分の持っている資源が「時間」と「体力」しかなかったので、その2つを全投入しました。会社から徒歩10分の場所に引っ越し、テレビを捨て、可処分時間のすべてを仕事に費やしました。極端だと思われるかもしれませんが、これだけやったんだからと思えるくらいまでやり、結果が出る確率を高めることが大事だと思います。自分のことは自分が一番理解しているので、何が合うかを見極めた上でやっていました。当時はもちろんきつかったですが、振り返ってみるとビジネスパーソンとして強くなっている、前進しているという実感がありましたね。
私がM&Aの支援をさせていただいた株式会社SHIFTの丹下社長が、「成長する一番の条件は”忙しくすること”だ」とおっしゃっていて、すごく腑に落ちたんです。たとえば、目標を高く設定したり新しい事業を始めたりするのは大変ですが、そこで知識や経験が蓄積され会社が成長します。個人でも同じだと思っていて、厳しい環境を自ら作り出し、そこに身を置くことが成長につながる要因でもあるのかなと感じています。
日本M&Aセンターの公式YouTubeを中心に情報発信を始めたのは、ベンチャーキャピタル(VC)の方との接点からヒントを得たことがきっかけです。
みなさんSNSで情報発信をされているんですよ。VCは、投資をする企業と接点を持つことが重要で、AIならこの人、SaaSならこの人といったように、投資家を求めるベンチャー企業側から思い出してもらう必要があります。VC業界は、10年ほど前に独立や創業した方が多く、個人が想起(リード)を取ってきた業界なんですね。M&Aコンサルタントもこれからそうなっていくと感じ、情報発信に注力し始めました。
M&A仲介に携わるプレーヤーも急増しているので、「M&Aと言えばこの会社」から変化し、「IT業界のM&Aといえば竹葉」というような想起を取っていく必要があると思っています。
たとえば不動産や車を買う時など、大きい商材であればあるほど失敗したくないという感情は誰にでも生まれると思います。それが、自分が経営している会社のM&Aならなおさらです。知人に紹介された人や、有名な人に依頼したいと思うのではないでしょうか。
とはいえ普通にしていたら気づかれないので、M&Aコンサルタントとして8年目になり実績が積み上がってきたところで、自ら情報発信することによって存在に気付いてもらうことを意識し始めました。すでに「業界最大手の日本M&Aセンター」という強いドメインがあるので、その中で個人の価値を出していきたいですね。
最近は、ITやスタートアップ業界の方とお会いする中で、面識がなくてもSNSやYouTubeをご覧いただいていて面談前から私を知っていただけていることが増えてきてありがたいですね。
当然、そこで信頼していただくためにも学ぶことは止めないようにしています。
社会人の学びは、インプットとアウトプットのPDCAを回しやすくて効率がいいと思うんです。学んだ翌日には仕事で実践できるので。
経験がない分野は、関連する書籍を3冊から5冊は読むようにしています。そうすると、だいたいエッセンスがわかってきて、あとはそれを落とし込んで体現するだけです。
USEN-NEXTHOLDINGSと資本提携した牧本天増さん(現WannaEat株式会社代表取締役)が、「知識はマナー」とおっしゃっていて、いい言葉だなと感じました。
経営者と話すうえで、業界・業種の理解が低いと質問のレベルも下がりますし、相手もわかりますよね。それだと深い話はできないし、一緒にやろうとはならないと思うんです。質問力を鍛えるには、まず知識のインプットはマストだと思います。
だから、何も学ばずに1日を終えないようにしていて1日1個でも積み上げるようにしています。筋トレのようなものです。
▽竹葉さんが出演する日本M&Aセンター公式YouTubeチャンネルを一部ご紹介!
【IT3.0時代到来!?】外資コンサルの日本企業買収が加速!IT/スタートアップ業界のM&A最新動向
「公認会計士からキャリアチェンジ!投資銀行でも、Fasでもなく、日本M&Aセンターを選んだ理由(わけ)とは」
今、M&A仲介業界はブティックやプレーヤーが一気に増えていて過渡期にあります。
より多くの後継者不在企業を支援していく上では必要なことかもしれませんが、プレーヤー数の増加に比例し、仲介の品質が上がっているわけではないと感じています。
この点は、M&A仲介協会で業界自主規制ルールを策定したり、入会社数を増やしたりとさまざま施策を行っていますが、当社は業界リーディングカンパニーとして、パーパスである「最高のM&Aをより身近に」していかなければならないと思っています。
私たちが支援させていただく経営者の方々は、信頼して任せてくださっているので、その信頼を裏切るわけにはいきません。人生をかけて経営する経営者と仕事をする以上、それ相応以上のマインドで臨む必要があります。
ただこれは、M&Aコンサルタントとして様々な経験を重ねてきたからこそたどり着いた考えでもあります。20代の頃は自分自身のために働いていて、自己実現を考えていました。自分が成長しているかどうかや、日々の仕事の中で心臓の鼓動が速くなるようなワクワクする瞬間があるかどうかを基準に仕事をしていました。
30代に入ってからは、コンサルタントとして企業の事業承継や成長に貢献し、「ありがとう」と感謝され、ご満足いただく様子を見た時に、目指す場所はここだと感じるようになりました。「自分のモチベーションではなく、経営者の期待に応えたい」というほうが動機として強くなりましたし、長期で維持されるのは後者だと思っています。
私たちには、会社と会社を「つなぐ」責任があるんですよね。成約して企業の成長に貢献する。すべての出会う人たちと、短期的ではなく長期的なつながりを持ち続けられるように仕事をしていきたいと思いますし、私のセンターピンは経営者の幸せです。
プロフィール
日本M&Aセンター 業種特化事業部 業種特化1部
IT業界専門グループ グループリーダー
竹葉 聖 (たけば・きよし)
公認会計士試験に合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、2016年に日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立ち上げメンバーとして7年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。2018年には京セラコミュニケーションシステム(株)とAIベンチャーの(株)RistのM&A、2021年には(株)SHIFTと(株)VISH、2022年には(株)USEN-NEXTHOLDINGSと(株)バーチャルレストラン等を手掛ける。IVS2022 LAUNCHPAD NAHAおよびIVS2023 LAUNCHPAD KYOTO審査員。
高知県出身。都道府県対抗駅伝出場経験あり。