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「サーチファンドを通じて成し遂げたいものがある」 業界をリードし、地域産業を盛り上げていきたい。

「サーチファンドを通じて成し遂げたいものがある」 業界をリードし、地域産業を盛り上げていきたい。

日本M&Aセンターグループのサーチファンド・ジャパンでシニアマネージャーとして活躍する新實 良太(にいのみ・りょうた)さん。大学卒業後日本政策投資銀行(DBJ)に入行し、観光業や北陸エリアの法人営業、メザニン・バイアウト投資業務などに従事したのち、現在はフルタイムメンバーとしてサーチファンド・ジャパンに出向しています。サーチャー(経営者候補人材)に伴走する新實さんの仕事への思いやキャリア、これからの展望について聞きました。

事業承継・経営人材の不足を解決できる
想いを大切にしたファンド

元々地域に貢献したいという思いがあり、まずは特定のエリアではなく広く日本というフィールドでできる仕事をと考え日本政策投資銀行に入行しました。観光業のファイナンス支援では、温泉エリアを盛り上げるファンドをつくり温泉旅館に投資しましたし、地方銀行や事業会社とファンドをつくり、リスクマネーを供給する仕事をしていました。そんな時、行内でサーチファンドを形にしていくプロジェクトが立ち上がりました。ちょうど私の異動先がそのプロジェクトの母体の部署、こんなに魅力的で面白い仕事はないと思い、上司に直談判してチームに入れてもらったというのが、私とサーチファンドの始まりです。
今サーチファンド・ジャパンでは、投資チームの担当者として、サーチャーを複数名担当しています。案件を探したり、サーチャーの壁打ち相手としてビジネスを深掘りしたりして、案件探索から、投資実行、後の経営サポートも含めて一気通貫で伴走しています。サーチャーから経営者になった方の悩みを解決して経営に反映していくところに寄り添い、会社が成長していく姿をすぐそばで見られることにやりがいを感じています。

サーチャーは起業家とは少し性質が違うと私は思っています。起業家はやりたいプロダクトを創り、それに合わせて人を集めて形にしていく一方で、サーチファンドの仕組みで承継する企業はすでに事業があって、何より頑張っている従業員がいます。そこにサーチャーが社長として入り、従業員を鼓舞しながら事業を広げていく意味では、元々の形があるかないかという大きな違いがあると感じています。「事業は人でできている」と強く思っているので、その人たちをうまくリードするマネジメントスキルは大事ですし、自分が携わってきていないビジネスをどう拡大させるかということなので、起業家とは全く違うスキルセットが必要になると思っています。

サーチャーの事業に対する解像度は圧倒的に私たちより高い場合がほとんどです。その中で私が価値を出せる強みは、財務分析や資金調達、バリューエーションも含めたM&A業界におけるファイナンススキルだと思っています。サーチャーが持ちえない部分をいかにサポートできるか考え、頼ってもらえるようすることを大事にしています。また、サーチャー含め経営者はすごく孤独です。悩みや思いを打ち明けられる数少ない相手として私たちが存在しますし、ビジネスの関係とは別のコミュニティも提供できるので、幾分か心理的負担を緩和することができます。結局は人対人の仕事なので、人の気持ちをいかに想像して伴走できるか、そういう意味でサーチファンドは、ファンドとして唯一無二の事業だと思います。

日本の地域に貢献したい思いが私の原点
人との縁が今の自分をつくる

私の出身の愛知県の西尾市は、実は抹茶の生産量が全国トップクラスなんです。みなさんが普段口にされている抹茶商品にも西尾産の抹茶が多く使われているんですけど、あまり世の中に知られていませんよね。そうした背景もあり、地域をブランディングする仕事や地域の活性化に携わりたいと考え、大学3年生の頃に福井県鯖江市で開催された地域活性化プランコンテストに参加しました。それ以来鯖江が大好きになって、かれこれ10年くらいになりますが、今はコンテストの運営としてもお手伝いをさせていただいています。当時から本当に沢山のことを学ばせていただいていますし、鯖江と出会っていなければ私は今ここにいないですね。

住民の方やプランコンテストを運営している代表の方に話を聞いた時に、地域を盛り上げていくには“外貨”を獲得していくことが必要だとおっしゃっていたことが印象的でした。外貨というのは地域外からのお金のことです。鯖江ならメガネフレームの生産量が日本一ですが、日本国内でいろんな人たちが買ってくれるから、全国からお金が流入しています。それがキャッシュフローの源泉になっていてそうした事業を増やしていくことが地域の自律のために必要だ、というお話を聞きました。2023年には、鯖江のメガネフレーム製造会社として初めて上場企業が誕生したんですが、私たちにも似たようなことができると思っています。集積産業の1社をサーチャーと一緒に成長させて上場までもっていくことによって、地域産業が再成長する起爆剤になりえるんじゃないかなと。私たちが支援させていただいたアレスカンパニーのように、上場企業へのEXITも含め、好例を生み出していきたいと考えています。

特に北陸で実現したいですね。知り合いも多くいますし、また一緒にお仕事ができる機会があると嬉しいなと思います。サーチファンド・ジャパン代表の伊藤さんも福井県出身なんですよ。伊藤さんは人の縁をすごく大事にされていて、「いつどこでどういうつながりがあって仕事をするかわからないから、目の前に対峙した人に対して誠実に仕事をしよう」といつもおっしゃっていて、そういう考えが好きですし、当社も人の縁を大事にしている会社です。

サーチファンドモデルを根付かせ
地域産業の成長につなげたい

5年前にタイムスリップして、人にサーチファンドって何かを聞いたらきっと誰も知らないと思います。しかし今は少なくとも感度の高い人たちに、サーチファンドという仕組みが認知されてきている印象があります。そうした広がりを感じる一方で、全国的な認知度はまだまだですし、理解度もまだまだ低いと思います。サーチファンド投資家がもっと増えないと、業界は拡大していかないので、まだまだ黎明期に近い状態かなと。

ただ日本の課題をストレートに解決できる仕組みだと確信しているので、もっともっと広がる可能性は大きいはずです。私たちの投資スタイルの在り方は、改良を重ねながら、設立当時と比べると大きく変わってきているんですね。正解がない中で、何が成功につながるのかを模索して仕組みをつくれることはやりがいにつながっています。1から業界をつくっていく面白さを感じています。何より、新しい経営者が誕生する瞬間を目の当たりにできるのは、非常に貴重な経験です。

私たちサーチファンド・ジャパンは、ミッションとして、「優秀な人材が中小企業を承継し再成長させる、新しいアントレプレナーシップのかたちを日本に定着させる」ことを掲げています。今後について、短期的にはサーチファンドモデルを成功裏に導いてビジネスモデルとして確立し、中期的にはサーチファンドに限らず、いろいろな方法を模索しながら、ミッションを実現できる武器を増やしていきたいです。また、アントレプレナーシップに資する取り組みも拡大したいですね。個人のミッションとしては、「日本の地域が生き生きとした社会を実現すること」が、新卒の時から変わらない思いなので、もっと日本の地域に貢献できるよう取り組んでいきます。


プロフィール

サーチファンド・ジャパン
新實 良太(にいのみ・りょうた)
日本政策投資銀行へ入行後、法人営業、採用、金融機関/事業会社との協働ファンド投資業務に従事。2020年のサーチファンド・ジャパン設立当初から参画。
東京大学卒。愛知県出身。