2015年に新卒で日本M&Aセンターに入社し、現在は投資戦略部 副部長として活躍する岡崎 裕さん。入社10年目の2024年度においては、日本M&Aセンター全コンサルタント700名中トップの年間売上を達成しました。岡崎さんに仕事への想いやキャリアについての考えを聞きました。
―自身初の売上全社1位を達成しての想いを教えてください。
入社以来10年間の積み重ねが今回の結果につながったと思います。この10年間で一緒に働いたメンバー、上司、部下、ディールのカウンターパートの皆様、そして何よりお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。
―岡崎さんは2015年に新卒で入社されましたが、その時の気持ちは。
入社当時はM&Aについて大学の授業で学んだ程度で知識はありませんでした。ビジネスパーソンとして誰よりも早く成長したいという意欲が強く、がむしゃらに働くことを肯定してくれる環境に惹かれました。また何より当社の三宅 卓社長(当時)というカリスマ経営者のもとで、オーナー経営者の大きな決断にかかわる仕事ができることへのワクワク感がありました。今もその想いに変わりはありません。
―入社時に思い描いていたキャリアを歩めていますか。
いい意味でまったく歩めていないです(笑)。入社後は「3年で会社上位のプレイヤーになる」という目標に向かって毎日、目の前のことをただ追いかけていました。その後、広島の新拠点の立ち上げやファンド立ち上げ、東京本社への異動など、想定外も含めて他社ではできない貴重な機会をいただいたことで視野も広がり、経験のすべてが自己成長につながったと感じています。
入社以来、会計事務所と協業してM&Aを支援する部署にいましたが、2024年度からは東京本社でファンドとのM&Aを支援する部署に所属しています。長年同じ環境にいると停滞することへの漠然とした不安があったのです。社内の異動であっても新鮮味があり、環境を大きく変えたことはプラスになったと思います。
―職場環境はどんなところが変わったと感じていますか。
10年前とは全く違いますね。企業評価総合研究所などM&Aのプロセスを支援するグループ会社もでき、新システムの導入などのDX化も進んだことで、M&Aコンサルタントの生産性は格段に上がってきていると思います。全部自分でやってみることにも大きな意味はあったと思いますが、お客様に向き合う時間がより増えたのは大きなメリットですね。
ちなみに私の入社時は、1年間ノートパソコンの貸与がなくて外出先からスケジュールを見ることもできないので、出張に行くときは2、3日分の資料を印刷して持参していました。本当に便利になり、今の新卒の皆さんがうらやましいです(笑)。
―仕事を通じて得たスキルや経験の中で、特に自信があるものは何ですか。
お客様への幅のある提案です。また、この10年間で誰よりもM&Aや周辺領域の知識についてキャッチアップをしてきたという自負があります。入社して3年は社内にもアンテナをめぐらせ、全案件の資料をチェックしていました。
―どうしてそこまでしていたのですか。
いわゆる天才型ではないからです。活躍している先輩方と自分を比べたときに、営業パーソンとしての圧倒的なカリスマ性やオーラがあるわけでもなく、うまく立ち回れるタイプでもない。それであれば、努力で補える部分だけは誰にも負けないようにしようと思い、知識のインプットは誰よりも常に意識的に続けてきました。
―この10年で転機となった経験はありますか。
入社2~3年目前半になかなか業績が伸びませんでした。そのころに譲渡をお手伝いしたお客様から、「条件面には全く不満はない。ただ岡崎さんのふるまいに成功報酬を支払う納得感がない」と言われたことがありました。振り返るとどこか自身が「条件面さえ満足してもらえればいい、決まりさえすればいい」と手を抜いていた部分があったのだと気づかされました。とてもショックでしたが、一方でこれが現実なのだとしっかり受け止めて、そこからは自分の会社を譲渡する、譲受けをするという立場から考えて、総勘定元帳から細かく分析するようになり、意識が大きく変わりました。
もう1つが、当社の不祥事を機に図らずも自身の身の振りを考えることになり、譲渡をお手伝いしたオーナーの自宅に伺い悩みを話しました。その際に「岡崎さんのおかげで会社が存続できた、本当にありがとう」とおっしゃっていただいて、その一言があったからこそやっぱりまだ頑張ろうと思いました。今でも悩んだ時には、過去のお客様と話をして人生の指針を決めています。
―この仕事の難しさはどんなところでしょうか。
条件も相手先も正解がないことです。これまで1件たりとも自己評価で100点満点のディールはありません。その時々で、できることを全力でやっていても、あとからあの時もっとこうすればよかったと反省することも多くて…。
―正直、この10年間でもう辞めたいと思ったことは。
それは何度もあります(笑)。経営者と仕事をする責任の重さもありますし、ディールが進む中で難しい局面も多いです。仕事だからと割り切れれば気持ちは楽になると思うのですが、それもできないので、日々修行だと思うようにしています。
そんな中でもここまで続けてこられたのは、社内外でのたくさんのいい出会いがあり、感謝され、やっぱりいい仕事だ、面白い仕事だと感じる瞬間がたくさんあったから。何よりM&Aという仕事が本当に好きだから続けてきたのだと思います。
―この仕事の好きなところややりがいはどんなところでしょうか。
業界への知見が広がるところにワクワクを感じます。そして何より、経営者の皆様と仕事をするのが本当に楽しくて学ぶことばかりで、M&Aの成約後にはとても感謝していただけるところです。当社に入社して以来、たくさんの失敗もしてきましたが仕事を通じて人間として大きく成長させてもらいましたし、人生が豊かになったと思います。
―仕事とプライベートのバランスはいかがですか。
経営者という土日も働く方々の大きな決断をサポートする以上、「ワークライフバランス」というものは個人的にはないと思っています。決してプライベートを軽視しているわけではなくて、プライベートの経験や出来事も仕事につなげる意識を持ち、仕事とプライベートを融合させて人生をより豊かにしていく「ワークライフブレンド」という考え方を大事にしています。日々充実感がありますし、趣味も多いほうだと思うので、仕事ばかりというわけではありません!(笑)
―将来、成し遂げたいことを教えてください。
M&Aコンサルタントとしてまだまだ未熟なので、これからも研鑽を続け、より多くの難易度の高い案件も支援していきたいです。特にM&A仲介をめぐる社会問題が多く報道されており、業界に関心ある方もおカネばかりに注目されている印象を受けています。
地方創生と社会貢献が実現でき、個人が物心両面で成長できる魅力のある仕事だと思っていますので、その模範となるべく1社でも多く良いM&Aを実現したいと思っています。
そしてもう一度、日本M&Aセンターを「1兆円企業」にしたいと本気で思っています。私が入社してから当社が時価総額1兆円にまで成長したプロセスにおいて、個人としても大きく成長でき、お客様とのいい出会いもたくさんありました。社内の勢いや空気感もすさまじく、もう一度経験したいという強い思いがあります。
プロフィール
日本M&Aセンター 投資戦略部
岡崎 裕(おかざき・ゆう)
1990年生まれ、京都府出身。京都大学経済学部卒。
2015年4月に新卒で日本M&Aセンターに入社。
入社以来累計約50社のM&Aを支援し、広島支店立ち上げ、副支店長を歴任、現在は東京本社にてミドル~ラージキャップの案件の支援を主に実施。
また日本M&AセンターHDファンド事業にも関与し、投資及びエグジットも実施、数社の投資先社外取締役も兼任。
趣味は旅行とスポーツ観戦。