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サーチファンドを日本に定着させる! 経営者を目指す人に寄り添いその想いを形にしていく

サーチファンドを日本に定着させる! 経営者を目指す人に寄り添いその想いを形にしていく

日本M&Aセンターグループの、サーチファンド・ジャパンでシニアマネージャーとして活躍する神戸 紗織(ごうど・さおり)さん。投資メンバーの一員としてサーチャー(経営者候補の人材)に伴走しながら、ソーシング、投資検討、エグゼキューション、そして投資実行後のPMI、バリューアップまで、一通りの業務を行っています。神戸さんの仕事への思いやサーチファンド・ジャパンで実現したいことを聞きました。

※サーチファンド:サーチャーと呼ばれる経営者候補が自ら投資先企業を発掘・選定し、事業承継/M&Aの実行と経営を主導する仕組み

サーチファンドとの出会い
人の想いを乗せる投資に魅了

サーチファンド・ジャパン代表の伊藤公健さんとは、入社以前からの知り合いでした。最初に出会ったのは2014年頃で、当時伊藤さんは日本で初めてのサーチャーとして会社を承継し、承継した会社の社長をしていました。私はその会社が取引していた銀行の担当者で、私から見た関係性で言うと、伊藤さんは取引先の社長として出会った形になります。今一緒に働いていることを考えると奇跡みたいな感じですよね。当時から伊藤さんはすごく話しやすくて、会社に対しての考えや分析をディスカッションしていく中で、思考や感覚が合うなという感じがありました。その後、私は銀行で異動があり担当を離れたり、伊藤さんも経営していた会社をEXITされたりと環境は変わったのですが、友人としてたまに近況報告を兼ねて会うというのが7、8年くらい続いていました。私自身当時からサーチファンドの仕組みに魅力を感じてはいました。銀行員から次のキャリアを考えている時、伊藤さんがサーチファンド・ジャパンを設立して規模を拡大していくことを知り、入社を決めました。

サーチファンドと一般的なPEファンドの投資担当の仕事の違いは、自分が投資プロセスをリードするのではなく、サーチャー(経営者候補の人材)が進める投資のその先まで伴走するということです。期間で言えば、サーチャーを選考させていただき、その方が会社を承継して経営者となり、会社を成長させ、最終的にEXITするまでが一連の業務なので、5、6年くらいでしょうか。私たちがサーチャーを選ぶ際に重要にしているのは、ハードスキルよりソフトスキル。もちろんハードスキルも大切なのですが、中小企業の社長を担えるスキルがあるかどうかを図る明確な指標はないので、従業員の方とうまくやれそうか、一緒に会社を育てていけそうか、これまでの経験を活かすことができそうかなど様々な部分を見極めさせてもらっています。一筋縄ではいかない難しさもありますが、サーチャー自身の知識や経験と承継先の企業が持つ力を掛け算していくことで会社が大きく成長することもあるので、同時に面白さも感じています。

私は、サーチャーの意志を一番に考えるようにしています。資本の論理上はファンドが株主にはなりますが、人生をかけてサーチャーになってくれた人に自己実現をしてほしい。フェアな立場で向き合うようにしていており、「サーチャーの幸せにコミットする」というのが私たちのバリューの一つでもあります。会社の株式を引き継がせていただいて、サーチャーとともに経営をやっていく。そして継続的に発展させていくという部分では、後継者不在などに悩む世の中の中小企業の役に立てているのかなと感じますし、会社を成長させることが一番の恩返しになると思っています。

神戸 紗織さん

利害関係が長く一致した状態が
私が目指す寄り添い方

私の父は中小企業の社長をやっていたのですが、当時かなり苦労している姿も目の当たりにしてきました。特に苦しそうだったのが相談する相手がいないということです。娘の私から見ても苦労は感じられましたが、かといって娘に悩みを話すのは父親としてのプライドもあり、難しかったのかなと想像でしています。そういう原体験があり、前職は地方銀行で主に法人融資業務に従事していたのですが、仕事を通じて実際に多くの社長と会うと、すごく色々なことを相談してくださるんですね。「新規事業を考えているんだけどどう思う」とか、「息子が結婚しないんだけどどうしよう」といったいろんな相談をいただけるのがすごく嬉しかったんです。もちろん銀行だからこそ資金という部分でダイレクトにサポートができる意味ではお役に立てていたかなと思いますし、一方で金融面だけではなく、事業や心理的な面でも助けになることができると感じることができましたし、銀行だからこそ資金という部分でダイレクトにサポートができ、感謝していただけて、銀行員で良かったと思います。ただ一方で、本当に困った時にはできることに制約も出てきて、そこはもどかしさがありました。

そういうもどかしさや葛藤もあってできる限り経営者に寄り添いたいという思いが強くある中で、寄り添い方として一番いいのは、利害関係が長く一致した状態だと考えています。その状態が一番ヘルシーで、サーチファンドはその点ぴったりです。会社を育てることにコミットできて、なんなら探すところから関われるなんて、なかなかない仕事なのかなと。会社を大きくするために同じ方向を向いてサーチャーとやっていく、自分の知恵も出しながらどうしたら会社がもっと良くなるか、それを全力で考えられるのはすごくやりがいに感じていますね。

サーチファンド・ジャパンでの仕事の中で私が一番印象に残っているのは、3年以上会社を託す相手に悩まれた末、サーチャーへの承継をご決断いただいた創業者です。創業者にとっては様々な選択肢があったはずなのですが、サーチファンドの仕組みに共感いただいて事業承継の話が前に進みました。進んでいくなかで、「本当にこの人でいいのか」「創業者の想いを引き継いでもらいたい」など、揺れる感情をダイレクトに受け止める時もありました。でもそれって当然なんですよね。これまで会社を育ててこられて、誰よりも会社のことを理解し想いを持っているわけなので。この気持ちにお応えできるように頑張る覚悟を伝え、最後の調印に至りました。

サーチファンドを文化に
成功確率を高めていくことが私たちの使命

ここ数年で、サーチファンドという仕組みは広がってきているのかなと感じています。SNSで見かけたり、金融業界でも聞いたことあるという人が増えてきたり。事業承継を考える経営者からも、サーチファンドの話は聞いてみたいというお声もいただいています。その期待に応えていくためには、とにかく着実に成功を積み重ねていくことが重要です。後継者に悩む会社と経営をやりたい優秀な方をつなぎ、資金面や経営面で伴走する。この事業承継を広げられるよう日々努力しなければいけませんし、文化にするためには本気で取り組む必要がある。本気でやれば、私はできると思っています。

近年は女性社長も増加しています。まだ女性サーチャーはおらず応募も多くはないのですが、ぜひ想いを持つ方には応募いただけたらと思っています。M&Aの世界はまだまだ男性社会ではありますが、女性ならではの強みはありますし、一方で男性には見えない苦労もある。その間に私が入ることで、気持ちへの共感や信頼感という部分で介在価値を出していけると考えています。とはいえ、結局事例がないと語れない部分もあるので、第一号で一緒にやっていただける方がいたら嬉しいです。

サーチャーは、1人1人様々な個性を持っています。その人に合わせた形でサポートし、全員の想いを実現させられるよう、まだまだ自分も成長しないといけません。サーチャーが苦手な部分は私が勉強してサポートもしますし、それでも解決できなければ専門家の力も借りて課題解決に取り組んでいます。そういう意味では私自身も、仕事を通じて新たな知識を得られるので実はすごく楽しいんです!サーチャーの裾野を広げていく中で、事業承継に悩む経営者の方が「サーチファンドありだな」と選択肢に思い浮かべてくれるような状況を目指し、そしてその仕組みがよりワークするように、会社として取り組みを続けていきますし、私もその一部であれるようにしていきたいと思っています。

プロフィール

サーチファンド・ジャパン
神戸 紗織(ごうど・さおり)
地方銀行へ入行後、金融商品開発、中堅中小〜大手上場企業向け融資営業、経営企画業務、合併業務・DX推進業務に従事。2022年、サーチファンド・ジャパンに入社。
一橋大学卒。長野県出身。