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「個を活かすダイバーシティ」をどう実装するか―ジェンダーギャップ会議に仲川 薫取締役が登壇

「個を活かすダイバーシティ」をどう実装するか―ジェンダーギャップ会議に仲川 薫取締役が登壇

3月4日、日本経済新聞社と日経BPが主催する「ジェンダーギャップ会議」が行われ、日本M&Aセンター 取締役の仲川 薫さんが登壇しました。「女性活躍、正直ここが一番つらかった 2社が明かすリアルな本音」と題し、日経xwoman編集委員の小田舞子さんファシリテーションのもと、NECネッツエスアイ 執行役員 兼 CDivO(Chief Diversity Officer:チーフ・ダイバーシティ・オフィサー)の菅江 美佐子さんと「個を活かすダイバーシティ」をテーマに対談。女性活躍推進のリアルな課題と効果的な取り組みについて語り合いました。

※本記事は、「ジェンダーギャップ会議 不確実性の時代に描く 企業成長の新たな戦略~ダイバーシティ経営の最新潮流2026~」のプログラムのひとつである「女性活躍、正直ここが一番つらかった 2社が明かすリアルな本音」の内容を抜粋し、レポートしたものです。


何が効いて、何が効かなかったか―採用と“入口”のつくり方

日経xwoman編集委員 小田さん:お二人の会社はどちらも“男性比率が高い業界”という共通点があります。その中で、女性採用を増やすために何が有効で、逆に何がうまくいかなかったのかをお聞かせください。

NECネッツエスアイ 菅江さん:新卒採用の女性比率は近年約 4 割へ、女性管理職比率はまだ道半ばですが、着実に伸長しています。試行錯誤の中で、女子大への新規アプローチは「相互理解が浅いまま選考に進みミスマッチが起こりやすい」という反省が残りました。一方で、通信インフラ工事を中心とする事業だったのが、システム開発・運用へ拡大し、設計や遠隔保守などオフィスで活躍できる技術者が増えました。職種の多様化が進んだことで結果的に女性の採用増にもつながりました。さらに、回数制限のないテレワークやコアタイムなしのスーパーフレックスで柔軟な働き方ができることや、インターンシップで社風・人柄に触れてもらうことも、入社の決め手になっています。

日本M&Aセンター 仲川さん:日本M&Aセンターは、社員規模が約1,000名、女性比率約2割。一律の研修やトップダウンでの施策は、母集団が大きくない部門では効果が散じやすいと感じています。そこで、少人数のラウンドテーブルや個別フォローに舵を切りました。営業(M&Aコンサルタント)職の女性は数年で大幅に増えました。活躍人材が可視化されると、当事者が「先生」となって後輩を育てる循環が生まれました。人数が少ない段階では最大限パーソナライズして“まず活躍人材を創出”することに集中するのが効果的だと感じています。さらに、社内広報・オウンドメディア「MA COLORS」などで成果を継続発信し、機運を高める「コンセプト×実績×PR」の3点セットでムーブメントを起こしています。

「中堅の壁」を越えるパイプライン設計と現場介入

小田さん:多くの企業に共通する悩みとして、“中堅層に女性が少ない”という課題があります。ここを突破するために、どのような工夫をされていますか。

仲川さん:営業部門は課長・部長クラスの女性がまだいません。まずは社員から課長へのステップに集中し、“兆し”を見逃さない細やかな声かけや、上司・経営陣・ロールモデルの個別指導で背中を押します。バックオフィス部門では女性の課長・部長が一定数おり、次段の役員層に向けては、意思決定の機会を意図的に提供し、正しい評価で成長を支援します。

菅江さん:NECネッツエスアイでKPIとして女性管理職比率10%を掲げつつ、部署ごとに構成が違う現実を踏まえ、“あらゆる組織で2割の女性が活躍する状態”をめざすメッセージに再定義を行いました。まずは経営層から、アンコンシャス・バイアス研修の実施やD&I検定受験を行い、上位層の意識をアップデートしました。全社向けの入門編研修も並行して行い、「会社として取り組む」意思を明確化しています。また部門別にI&D活動を推進する「カルチャーアンバサダー」を設置し、現場の課題を吸い上げる仕組みも導入しています。

今後は全社施策に加えて、一人ひとりの状況や課題に応じた支援の充実をテーマとしています。私自身もスタッフ部門として女性マネジャー約40名と1on1を重ね、部長層への橋渡しに必要な支援を実施しています。

※NECグループでは、多様な人材がパフォーマンスを十分に発揮するためには、まず“インクルージョン(I)という土壌”が必要であると考え、ダイバーシティ(D)より先に “I” を置いて“I&D”としています。

戦略だけでなく“戦術”を授ける

小田さん:女性がキャリアを築くうえで、“戦略”以前の日々の前進を支える工夫も重要だと思います。どのようなサポートをされていますか。

菅江さん:アンコンシャス・バイアスは“自分の中”にもある。研修を通じ、自身にも予期せぬバイアスが存在することに気づきました。性別で枠にはめられたくない一方で、無意識に「男性には強さを」と期待してしまいます。気づきが腹落ちすると、他者への尊重が自然に行動に変わります。女性に管理職登用を打診した際、「今は難しい」と返ってくることがあります。しかし、ライフワークの状況は刻々と変わるものです。本人のペースに合わせて対話を継続し、アクセルを踏む時期、そして緩める時期を共に設計する姿勢が重要です。

仲川さん:ビジョン設計と同じくらい、日々を前進させる小さな戦術が効くと感じています。たとえば、「名もなき仕事」に名前を付ける(=プロジェクトマネジメント等として言語化し、評価・履歴書に載る資産へ変える)、ライフイベントを前提に逆算してキャリアを設計する、ピンチをチャンスに捉え直すなどの“思考の持ち替え”を、個人ごとにパーソナライズして支援しています。

菅江さん: I&Dは“優しさ”“心地よさ”ではなく、企業を強くする基盤です。相互尊重と風通しの良さがある心理的安全性が高い環境は、不正の芽を早期に摘み、同時に創造性と能力発揮を最大化できます。それから、ロールモデルについては、“型”の押し付けではなく、工夫のためのヒント集として多様に提示したいと考えています。

仲川さん:10年単位の視点で見れば、私たちは確実に前進しています。目の前で壁が高く見えるときこそ、自分たちのためのダイバーシティとは何かを問い直し、仲間とともに一歩ずつ進めていきましょう。

日本M&Aセンターでは、2026年3月にD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進の取り組みや社員インタビューをまとめた冊子「DIVERSITY & INCLUSION BOOK 2025-2026」を公開しました。以下よりご覧いただけます!
DIVERSITY & INCLUSION BOOK 2025-2026

ジェンダーギャップ会議のアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。
https://channel.nikkei.co.jp/2603gender_gap/gender260304_05.html