日本M&Aセンターの新人層の選抜メンバーが集結する「令和塾」。特別回が10月9日に西日本支社で開催されました。今回はスペシャルゲストとして大阪発の老舗お好み焼きチェーン「千房」を展開する千房株式会社 代表取締役社長 中井 貫二氏をお迎えし、事業承継のエピソードや経営のお考え、従業員への想いについてご講演いただきました。その一部を特別にご紹介します!
中井社長は慶應義塾大学を卒業後、2000年に野村證券に入社。三人兄弟の末っ子で、父が創業した千房は長男が後を継ぐと決まっていたといいます。
「私は三兄弟の末っ子で自立を促されて育ちました。大学では体育会系で、就職は厳しい世界で挑戦しようと野村證券へ。営業として順調なキャリアを歩んでいたのですが、ある日父から電話がかかってきまして…」
それは、千房に入社していた長男の病状が悪く社会復帰が難しい可能性があること、三男である自分に会社を継いでほしいという電話でした。中井社長は家族を東京に残し、給料が半分以下になるにもかかわらず、二つ返事で承諾したといいます。
「私は子どものころから千房の従業員と交流があり、父に『お前がここまで大きくなったのは千房の従業員が頑張って働いてくれたおかげだ』と言われ続けてきました。今の自分があるのは千房のおかげであり、千房が困っているのであれば恩返しをしたいという一心でした」
会場参加者から、父から息子への事業承継がうまくいくコツについての質問が投げかけられると中井社長は「いい意味であきらめて譲歩し合うこと」と回答。お互いにリスペクトしあうことの大切さを強調しました。「父は“野村證券の経験を持ち込まないこと”と“すべての従業員に心から感謝すること”の2つを守ってくれたら何をやっても構わないと言ってくれました。この2つは今でも大事にしています」と話しました。
千房における「おもてなし」の考えについても紹介し、見返りを期待せずしっかりとお客様に向き合って対応することの大切さを説きました。中井社長は「千房は社訓で“出会いは己の羅針盤”と掲げるように人との出会いを大切にしています」と話し、アルバイトを含む全従業員に質の高いおもてなしを徹底させるために朝礼で唱和していることなどを話しました。
また、学歴、職歴、過去は一切問わず、元受刑者の積極採用も長年続けていることに触れ「中井家の家訓に“従業員は家族”とあるように、すべての人を受け入れてきました」と話し、元受刑者の更生を支え続ける取り組みについても紹介しました。
最後に中井社長は「常に矢印を自分に向けて、良いときは外部要因、悪いときは内部要因ととらえて自分を見つめなおすことが成長につながります。飲食業はおもてなしと幸せを提供できる、関わる全ての人が幸せになれる仕事です」と締めくくりました。
今回の令和塾には若手の選抜メンバー56名が参加しました。令和塾の後は千房に移動して会食を実施!情報交換を通じて親交を深めました。
=令和塾とは=
日本M&Aセンターは「企業の存続と発展に貢献する」という理念を実現するために「人材育成」が最重要だと考え、経営者とひざを突き合わせ伴走できる人材を育成すべく、入社3年未満の優秀コンサルタントのみが参加可能な「令和塾」を毎月開催しています。経営層、幹部層とのビジョンの共有や、外部経営者による講演を通じ、高い視座の習得を目指しています。