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海外M&A担当のキャリアの原点は?マレーシア駐在で目指すこと

海外M&A担当のキャリアの原点は?マレーシア駐在で目指すこと

入社以来海外M&Aに携わり、2024年9月からマレーシア現地法人に駐在予定のIN-OUT推進部 福島裕樹さんにインタビューしました。日本M&Aセンターグループは、ASEAN5ヵ国に拠点を構え、海外企業とのM&Aにも注力しています。海外M&Aを担当するコンサルタントに求められるスキルやキャリアの原点、これからマレーシアに駐在して目指したいことなどを聞きました。


ダイナミックなM&Aが魅力
海外ならではの予測できない事情も

私が所属するIN-OUT推進部は、日本企業の海外進出を主に支援しています。日本の企業が現地の会社を買収し、そのM&Aを足掛かりに海外展開を進めます。
買い手は基本的に日本企業なので、お客様のところに行って提案をするほかの買い手担当コンサルタントとあまり変わりません。

ただ、海外案件をお客様に提案するにあたっては、各国の情勢についての知識や現地法人メンバーとのコミュニケーションが重要になるので、定例のミーティングも行っています。英語も毎日使いますね。タイ語や中国語が得意なメンバーもいるので、私たちのデスクの周りは多言語が飛び交っています。
現地法人がある拠点との時差は最大でも2時間なので、それほど影響はないですね。海外出張は少なくとも2ヶ月に1回程度は行っています。

譲渡候補企業は海外企業なので、担当する国の法律や税務、会計、文化についての知識も一定程度必要になります。決算書の科目ひとつとっても、国際会計基準で運用していて日本とは異なるので、キャッチアップするのにかなり苦労しました。

また、海外ならではの事情もあります。運送会社の経営者がドライバーの管理が難しいというので話を聞いてみると、「ドライバーがガソリンを抜いて売ってしまう」「荷物を持っていっちゃう」というんです。現地の人に聞かないとわからない情報は多くあって、日本のM&Aにはない部分への対応も必要になります。

日本企業が国を超えて新たなマーケットを獲得・拡大していくことに寄与できる点は、海外M&Aに携わるダイナミックな魅力の1つだと思います。以前私が支援させていただいた企業は、M&A後、売上の半分が海外で占められるようになりました。両社にもたらす成約後のインパクトの大きさがある分、やりがいを強く感じます。

ベトナムの学生との出会いで感じた焦り

IN-OUT推進部には、駐在経験や帰国子女の人も多いのですが、私は東京の下町で、両親もパスポートを持っておらず海外には縁がない家庭で育ちました。ただ、「英語喋れたらかっこいいな」という発想から、大学1年生の夏にベトナムの農村地や学校を訪問する異文化交流を目的としたフィールドワーク研修に参加しました。
そこで現地の学生と話をしている時に、英語を流暢に使いこなし、自国の政治・経済にしっかりとした考えを持っていることに衝撃を受け、同じ学生としてレベルの違いを感じました。経済発展のスピードも現地で感じ、もしかしたら将来一緒に仕事をする機会があるかもしれない、同じフィールドで戦っていかないといけない、と焦りを感じました。以来、海外に触れる機会を増やすため、長期休暇のたびに東南アジアを回り、グローバルに活躍できる人材となることを目標としてきました。

前職のメガバンクでは中堅中小企業向けに法人営業をしていて、経営者から事業承継の相談を受けることがありました。銀行員としてできることは限られていて、少しもどかしさも感じ転職活動をしていた時に、日本M&Aセンターの採用動画を見て、M&Aで事業承継問題を解決できると知りました。「自分も携わりたい」と思い入社し、海外事業部でM&Aコンサルタントのキャリアがスタートしました。

当時の海外事業部の日本サイド、今のIn-Out推進部は発足から間もなく、私含めて2名体制でした。しかし、日本で事業承継問題があるように海外にも同じような問題があります。留学していたころ、現地の日系企業の活躍は目立っていましたし、マーケットを拡大して海外進出を考える日本企業の支援ができることは意味のあることだと感じていました。

ついに、目標だった海外駐在へ

私は2024年の9月からマレーシア現地法人に駐在します。かねてから希望していたので念願叶った形です。これまでは買い手となる日本企業の担当でしたが、海外企業の譲渡企業を担当することで、M&Aコンサルタントとしての付加価値を生み出せると思うと楽しみです。
また2023年度は、グループリーダーとしてマネジメントを経験し、マネジメントの面白さ、難しさを学びました。現地法人は、ローカル社員の教育や採用をはじめ、売上を伸ばしていくための施策を打つなど会社経営ができる点も魅力に感じています。
いずれはマレーシア現地法人の代表をやりたいです。マレーシアでは中堅中小企業のM&Aノウハウを持つプレーヤーの数がまだまだ少なく、育成には時間がかかると思いますが、現地法人メンバーとともに、よりローカル社員にもフィットする体制を構築していきたいと考えています。

マレーシアには家族と一緒に行きますので、子どもたちが将来どんなフィールドでも活躍できるようにサポートしたいと思っています。私は大学から英語を始めて苦労したので、今回の海外生活が、子どもが大きくなった時にプラスの経験になっていれば嬉しいですね。

マレーシア現地法人のオフィス

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プロフィール

日本M&Aセンター 法人チャネル IN-OUT推進部
福島 裕樹(ふくしま ゆうき)

大手金融機関を経て2018年に日本M&Aセンターの海外事業部に入社。入社から一貫してクロスボーダーM&Aに従事。主に譲受をする日系企業に対してアドバイザリー業務を行う。2023年4月よりマレーシア担当となり、AESAN各国での成約実績に基づきマレーシアの魅力を発信している。