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【著者インタビュー】会計事務所M&Aに特化した書籍発売!

【著者インタビュー】会計事務所M&Aに特化した書籍発売!

日本M&Aセンター 会計チャネルは、書籍『所長の「知りたい」がすべて詰まっている 会計事務所M&A成功の法則』(クロスメディア・パブリッシング)を2026年2月に発売しました。会計事務所のM&Aに特化した一冊で、会計事務所特有の事情を踏まえた実務的な成功ノウハウが詰まっています。企画・執筆を担当した日本M&Aセンター 会計チャネル部長 上夷 聡史さん(右)、会計チャネル コンサルタント戦略営業部 東日本2部 森下 靖永さん(左)に話を聞きました。


会計事務所が抱える課題を解決するために

― 今回の本を出す狙いと、なぜいまなのかを教えてください。

森下さん:日々会計事務所の先生方とお話ししていると、会計事務所の後継者不在問題は本当に深刻だと感じます。お子様がいらしても税理士資格者ではないなどの事情が重なり、承継に踏み出せないケースが実際に多いのです。また、私自身、前職で士業人材の転職支援をしていたのですが、その経験から採用と定着の難しさが経営に直撃している実感があります。中堅層が足りず、所長が教育も経営も担うことになりやすい。ITやDXの推進役が不在で、やるべきと分かっていても動けない。ここにAIの進展が重なり、業務のやり方そのものが変わる局面に入っています。だからこそ、M&Aを事業承継の手段にとどめず、成長戦略として使いこなす視点を現場の言葉でいま届ける必要があると考えました。

― 一言で表すとどんな本でしょうか。

上夷さん:「会計事務所を変える本」です。全国に約3万ある会計事務所は、これから確実に集約化されていきます。「迷いが多い今こそ事務所の成長というアクセルを踏むべきだ」というのがこの本の核です。そのために必要な判断基準と具体的な打ち手を、現場の言葉で整理しています。ここ5年で会計事務所同士のM&Aは確実に増えています。私たち日本M&Aセンターは会計事務所の出資で生まれた会社で、創業当初から先生方とともに歩んできました。日常の接点と実務の経験があるからこそ、ハウツー本ではわからない現在の相場観、たとえば事業評価の肌感や買手が重視しているポイントなどが見えてきます。だからこそ、「いま何が起きているか」最新の情報を先生方にシェアする意義があると考えました。

 創業当初から先生方と歩んできたからこそ書ける内容

― 制作にあたって意識したことを教えてください。

森下さん:読者(会計事務所の先生方)が本当に知りたいことを誠実に書くことです。そのためには、通常は避けられがちな領域にも踏み込む必要がありました。現場にしか書けないこと、現場でしか知らないことを、責任を持って言語化したつもりです。

上夷さん:会計事務所同士のM&Aは士業特有の難しさがあります。スキームも事業譲渡が代表的ではありますが、合併や会計法人の株式譲渡なども関わるなど、対価の支払い方法においても、税金の問題が大きな論点にもなるため、譲渡側の先生の希望、譲受側の先生の希望を調整することが必要になります。対価の分割支払いも業界的にはよく行われることですが、リスクをしっかりと抑えた上で進めていかなければなりません。このような実際の現場感覚もしっかりと組み入れて本を制作していくことを意識しました。

― 会計事務所と日々コミュニケーションしているからこそということですね。

森下さん:会計事務所の“中”に入らなければ分からない事情が確かにあります。家族と資格の問題が複雑に絡む後継者不在の実情や、中堅層が薄く所長が教育と経営を同時に背負わざるを得ない現実、OJT頼みの文化が限界を迎えつつある兆し、ITやDXが止まっているのは能力ではなく「推進役がいない」ことに起因する場面が多いこと。こうした空気は統計ではなく日常の対話の中でしか掴めません。そのうえで、だからこそ単独で“やり切る”発想から離れ、“組むことで実現する”ためにM&Aを成長戦略として活用するという筋道を、実務の言葉で描けるのは現場にいる側だけだと思います。

― 同様のテーマを取り上げた本と比べてどこが違いますか。

上夷さん:通常は立場上マイルドになりがちな論点にも踏み込んでいます。当社の税理士(専門家)にも内容を監修・チェックしてもらい、可能な限りはっきりとかけるところははっきり記載しようということで課税面のことや最新の評価手法など、読者が「実際はどうなの?」という点も記載しました。買い手の分類も、実名をあえて入れるなどして出来るだけ具体的に描き、先生方が自分のケースに重ねて検討できる粒度にしています。

 ― 章立ての意図についても教えてください。

森下さん:現場の一次情報をベースに、第1章・第2章・第4章・第5章で実務と営業の視点を整理し、第3章は税務・評価の専門論点を当社の税理士(専門家)が執筆協力という形で担っています。読み進めるほど専門性が立ち上がりつつも、すぐに検討を始められる具体性をもった構成にすることを意識しました。

ハードな業務と執筆の同時並行!

― 制作の裏話を教えてください。

森下さん:当初は2025年12月刊行を目標としていましたが、最終的には2カ月後ろ倒しとなりました。期末や繁忙期が重なったこともあり、年末年始に追い込みをかける場面がいくつもあって…。業務と執筆の同時並行はとても大変で、最後は情熱で乗り切りました(笑)。書きながら反応を見てまた書き直すという往復運動で、自分の思考が整理されていきました。短期でも密度を落とさず仕上げられたのは、この往復があったからだと感じています。

― 表紙が黄色なのは、どんな意図を込めたのですか。

上夷さん:目立てば良いな(笑)というのは半分本音で、もう半分は、会計業界は実は黄色信号で移行期にありますよ、という意味を込めました。会計業界を魅力ある業界にして、若い人材が流入してくるような未来を先生方と一緒に創りたい、そしてそのポテンシャルがあると思っているので、青信号への移行期に出来ればと思っています。

― 今後の展開や連動はありますか。

上夷さん:書籍の狙いと連動した取り組みとして、3月開催の「アカウンティングデー」では“大手会計事務所の成長戦略”と“少人数の会計事務所の成長戦略”というテーマを取り扱って先生方と勉強する機会を創りたいと思います。そして、先生方が明日から動くためのヒントを持ち帰っていただけるような、先生方のやる気のスイッチが入るような、そんな一日にしたいと思います。

M&Aで会計事務所のポテンシャルを生かしきる

― これから書籍を手に取る方へのメッセージをお願いします。

上夷さん:すべての会計事務所の先生方に読んでいただきたいです。売る側・買う側という単純な話ではなく、今、現場で何が起きているかを具体的に把握してもらえたらと思います会計事務所同士のM&Aは、会計事務所を成長させ、ひいては、顧問先の中小企業の成長につなげるための一つの手段でもあります。自分自身の立ち位置を知り、事務所経営の方向性を考える手助けになれば幸いです。


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