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仕事と子育てに向き合う3児の母 人材戦略部 井上 敦子さん

仕事と子育てに向き合う3児の母 人材戦略部 井上 敦子さん

現在、新卒社員の育成を担っている人材戦略部の井上敦子さん。プライベートでは3児の母。どのように仕事と家庭を両立されているのか聞きました。

仕事も子育ても丁寧に行いたい

―現在は社内で「新卒社員の母」とも呼ばれていますね。これまでのキャリアについて教えてください。

2007年4月に中途採用で経理部に入社しました。日々の業務から決算業務まで幅広く担当していましたが、当時は社員数50名という会社規模だったため、来客対応や代表電話応対をはじめとする全社的な業務もたくさん経験しました。会社の成長とともに自己成長と社会貢献を実感でき、本当に充実した日々でしたね。2012年4月に課長職を拝命し、メンバーをまとめ率いる役割も務めるようになりました。その後結婚し、3度出産。いずれも一年以内に復職し、仕事に子育てにと多忙な毎日が続いています。2022年1月には人材戦略部へ部署異動し、現在は主に新卒社員の育成を担当しています。

―部署異動した背景を聞かせてください。

実は、仕事と子育ての両立がいよいよ困難で退職を考えていたときに、会社側から打診され、それに応じたものです。経理部が働きづらかったわけではなく、当時の私は視野が狭くなっていて、環境を変えたことで見える世界が広がりましたし、前部署での経験やプライベートでの育児経験を活かせることもたくさんあったので、ありがたい提案をいただいたと思っています。他分野への異動に際し、リスキリングをと考え、自費でコーチングを学びました。一定のスキルを習得できましたし、自信にもなりました。
当社ではバックオフィスの部署異動があまり多くなかったので、私は選択肢として検討したことがありませんでしたが、現在では社内公募制度もでき、手を挙げやすくなったと感じます。

―お子さんが3人いらっしゃって、仕事と子育てを両立されるのはご苦労もありますよね。

完璧に両立できているわけではまったくなくて、とにかく時間も手も足りないです。我が家の場合、他社で働く夫は仕事の関係で21時前に帰宅することはほぼなく、夜はワンオペ。子供たちひとりひとりの要求にゆったりと対応したいけれど時間と心の余裕がなく苦労しています。仕事も子育ても丁寧に行いたいのですが、現実にはそうはいかないですね。
一旦は退職を考えたというのも、自身の力不足もさることながら、時間の不足が大きな要因でした。思うように仕事ができない状況に対し、自分自身で折り合いをつけることがなかなかできなかったこと、そして周囲にSOSを出せなかったことで、追い詰められてしまっていました。

仕事をやめようと思ったからこそわかったこと

―それでも現在の井上さんは楽しそうにお仕事されているように見えます。どのように困難を乗り越えましたか。

楽しそうに見えているのであれば良かったです、波はありますよ(笑)。
仕事も子育ても手を抜きたくなくて、自分を犠牲にしてがむしゃらに頑張ってきました。もともと身体は丈夫なほうだったので、なんとか回っていたんです。でも、第一子が小学1年生になったとき、小学校に学童、そして下の子たちの保育園と、スケジュールや荷物などの管理が3倍に増えたように感じました。さらには夫の仕事がより忙しくなり、ついに限界がきてメンタル不調を起こしかけてしまいました。そのときに「どこかで折り合いをつけなければならない」とようやく気づき、自身の大事にしている価値観、優先順位、それを実現する方法を考えるように。気づくのが遅いですよね(笑)。夫とも数日にわたって話し合うことができて、本気で自分と向き合い、周りにも理解やサポートを求め、「これが自分の選んだ道なんだ」と心から思えたのは大きかったですね。

仕事を辞めようと思ったとき、私は働くことが好きで、当社に愛着もあると改めて感じました。そしてなにより、妻でも母でもない“私”というアイデンティティを自分が大事にしているということを痛烈に感じたんです。これまで培ってきた経験やスキル、人脈を活かし、若い世代に還元していきたいですね。

―子育て中の社員に対しては、会社からもさまざまなサポート体制がありますが、いかがですか。

はい、サポートが手厚くなっていると感じます。
以前、当社の規程では時短勤務できるのは子が3歳までだったのですが、第三子が2歳のとき、この先フルタイム勤務に戻ってやっていけるのだろうかという不安がありました。それを役員に相談したところ、スピーディに意思決定していただき、子が小学校3年生まで時短勤務できるよう規程改訂されました。役員への相談を後押ししてくれたママ社員たちと驚きながら喜んだことを覚えています。ためらうこともありますが、社内でのワーキングマザーのパイオニア世代として、これからも声を上げていかなければならないと思いますし、人事部門に所属する身としても社員の声を聴き、必要な策が講じられるよう働きかけていきたいです。2022年度に導入されたベビーシッター利用補助制度も、会社からの育児世代を応援するメッセージのひとつだと感じています。

自分の人生の主役は私。楽しみながら未来をつくりたい

―子育て中の人へのアドバイスはありますか。

母親も父親も一人の人間。人生を楽しみましょう!と伝えたいです。
私はこれまで、母親が子を育てなければならないという思いが強かったんです。アンコンシャスバイアスですね(笑)。家事や育児を他人に任せることに心理的な抵抗があり、家事代行もベビーシッターも利用したことがありませんでした。これまで相談してこなかった親族に「頼っていいよ」と言ってもらえたり、会社で導入された制度をきっかけにベビーシッターを利用してみたりしたことで、考え方が大きく変わりました。「任せてもいいんだ」と肩の荷が少し下りました。自分自身が満たされていると周りにポジティブに関わることができ、家庭も円満、仕事にも社会にも良い影響があると考えています。人生の主人公は自分。楽しみながら未来をつくっていきたいですね、つくっていきましょう!

―仕事と子育ての両立の秘訣をお願いします。

一人で抱え過ぎず周りに頼ることですね。
仕事面では、子育てを言い訳にしないと心に決めていますが、上司・同僚・部下の皆さんの理解・サポートが欠かせません。この場を借りて御礼申し上げます。いつもありがとうございます。恩返し・恩送りしていきたいです。
子育て面では、パートナーによる家庭進出や親族によるサポートの有無が大きいと感じます。ワンオペだったり親御さんに頼れなかったりする方もいらっしゃると思います。可能な範囲でベビーシッターや家事代行、自治体の支援など、さまざまなサービスを積極的に試してみて、セーフティーネットを幾重にも張ることがご自身を助けると思います。子の成長に伴って困り事の内容も変わってきます。いつでもSOSを出して良い。それは恥じることではなく健全なこと。それを受けいれる社会であることを願います。役割が増えても、自分を犠牲にし過ぎることなく、しなやかに生きていきたいですね。