
日本M&Aセンターが九州に拠点を開設してから、2026年で10周年を迎えました。提携先の地域金融機関や会計事務所、そして地元企業の皆様と信頼関係を築きながら歩んできた10年。その節目のタイミングで今春、九州支店長に就任したのが、2008年に日本M&Aセンターに入社した笠置 正人さんです。地域への想いや九州が持つ可能性、そして次の10年に向けた展望について聞きました。
※所属・肩書は取材当時。
―10周年を迎えた今、どのような思いがありますか。
10周年という節目を迎えられたことを、とてもありがたく感じています。10年間、九州の地で事業活動を続けてこられたということは、それだけ地域に必要としていただけているという証であると考えています。その歴史と積み重ねを大切にしながら、次の10年につなげていきたいですね。
―支店長就任の打診を受けたとき、率直にどう感じましたか。
正直、かなり驚きました。ただ、実際に赴任してみると、九州は本当に魅力的な地域で、県ごとに文化や産業の特色があり、訪れるたびに新しい発見があります。今は単身赴任で福岡に住んでいますが、徒歩通勤ですし、食事もおいしい。各県に行けば地元の方々からその地域の魅力をたくさん教えていただけます。最初は驚きもありましたが、今では「九州に来てよかった」と心から思っています。
―九州支店ならではの強みはどこにあるのでしょうか。
地元への強い愛着を持ったメンバーが多いことです。九州出身の社員が非常に多く、土地の産業や企業文化を深く理解し、ずっと九州で働きたい、九州に貢献したいという熱い想いを持ったメンバーが日々奮闘しています。
また、経営者の皆様も「九州を盛り上げたい」という想いを強くお持ちです。県ごとの個性はもちろんありますが、「九州」という大きな一体感も感じます。地域への理解と愛着を持ったメンバーが多いことは、九州支店の強みだと思っています。
―九州エリアの事業承継・M&A市場をどのように見ていますか。
九州には約40万社の企業がありますが、そのうち約4割が福岡県に集中しています。その一方で、まだ福岡マーケットのポテンシャルを十分に取り込めているとは言えません。特に成長性の高いIT企業などには大きな可能性があります。現在は若手メンバーとプロジェクトを立ち上げ、福岡の成長企業との接点づくりを増やす取り組みを進めています。

―九州企業の成長戦略についてはどのようにお考えですか。
私はASEANへの展開に大きな可能性があると思っています。九州は地理的にASEANに近く、福岡空港からはシンガポールをはじめ各国へのアクセスも良好です。実際に現在も九州企業によるASEAN企業の買収を支援しており、私自身も現地へ足を運んでいます。
国内市場だけを見ると人口減少という課題がありますが、視野を広げれば新たな成長機会があります。九州には食品関連企業やメーカーなど、高い技術力やブランド力を持つ企業が数多くあります。そうした企業が新たな市場へ進出する際、M&Aは有効な選択肢の一つになり得ます。事業承継だけでなく、成長戦略としてのM&Aについてもお伝えしていきたいと思っています。
―熊本地震の影響についてはどのように感じていますか。
現時点でも一定の影響はあります。実際に被害を受けた企業もありますし、交通インフラや物流への影響によって企業活動が停滞しているケースも見られます。
一方で、経営者の皆様が事業継続やリスク分散について、より現実的に考えるきっかけにもなっています。「もし次に同じような災害が起きたらどうするか」という議論は確実に増えています。拠点分散や事業承継、成長戦略の見直しなど、経営課題を改めて考える経営者も増えています。私たちもM&Aを含めたさまざまな選択肢を提案しながら、地域企業の持続的な成長を支援していきたいと考えています。
―支店長として、組織運営で意識していることはありますか。
着任してまず取り組んだのは、支店全体の一体感の醸成です。支店には3つの営業部署があり、それぞれ成果を上げていましたが、もっと連携することで、より強い組織になれると感じていました。
そこで、全部署合同の朝会をスタート。また、支店横断のマッチング会議やゴルフコンペなどのイベントを増やし、コミュニケーションを強化しました。さらに、メンバーの活動状況や案件状況を共有するダッシュボードを整備し、情報の可視化を進めました。
部署の垣根を越えてお互いの仕事への理解を深め、「九州支店として成果を出す」という意識を高めることで、お客様により大きな価値を提供できる組織にしていきたいと思っています。

―メンバーの人材育成で大切にしていることは何ですか。
一番伝えているのは、「人に興味を持つこと」です。譲渡企業でも譲受企業でも、初回面談でやるべきことは同じです。まずは徹底的に話を聞くこと。経営者が何を考え、どのような想いで事業を続けてきたのかを理解することが大切です。
相手のことを深く理解できて初めて、本当に価値のある提案ができます。私はよく「全力で仕事を楽しんでほしい」とも伝えています。お客様に必要とされ、自分の提案が企業の未来につながる。そんなやりがいを感じながら成長してほしいですね。
―これからの九州支店をどんな組織にしていきたいですか。
将来的には、九州支店を日本M&Aセンターの幅広いサービスを提供できる拠点にしたいと思っています。また、九州で働きたい社員が、地域に根差しながらさまざまなキャリアを描ける組織にもしていきたいですね。地域のお客様にとっても、働くメンバーにとっても魅力的な拠点を目指していきます。
―最後に、次の10年に向けた抱負をお願いします。
10年間で築かれてきた地域との信頼関係は、九州支店にとって大きな財産です。その歴史を受け継ぎながら、次の10年ではさらに成長していきたいと思っています。
地域企業の事業承継を支えるだけではなく、成長戦略まで含めて提案できる存在になる。そして福岡をはじめ九州全域で、より多くの企業の未来づくりに貢献していきたいですね。地域の金融機関、会計事務所、企業の皆様から、これまで以上に必要とされる存在を目指していきます。
【プロフィール】
日本M&Aセンター 九州支店長
笠置 正人(かさぎ・まさと)
1978年生まれ、兵庫県出身。
慶應義塾大学卒業後、東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、主に法人営業に従事。
2008年4月に日本M&Aセンター入社。主にメガバンクグループおよび地域金融機関との提携立ち上げや協業強化を推進。
趣味はアイスホッケー、ゴルフ、ジョギング、スノーボード。休日は九州各地の史跡を巡りながら、その土地ならではの料理や地酒を楽しむ。




