(右)共同会計事務所 塩野 達也さん
(左)日本M&Aセンター コンサルタント戦略営業部 中四国 片山 洋輝さん
香川県高松市の共同会計事務所は、日本M&Aセンターとの提携により顧問先のM&A支援の取り組みを始めてからわずか8カ月で受託4件、成約1件を実現。日本M&Aセンターと全国の会計事務所でつくる「日本M&A協会」中四国支部において、2024年MVP事務所に選ばれました。今回は、同事務所の窓口としてM&Aを推進する塩野 達也さんに、日本M&Aセンター コンサルタント戦略営業部 中四国 片山 洋輝さんがインタビューしました。
片山さん:まずは簡単に事務所のご紹介と塩野さんの役割を教えていただけますか。
塩野さん:私ども共同会計事務所は香川県高松市に拠点を構え、60年ほどの歴史を有しています。職員は約10名で、顧問先は法人・個人合わせて200を超えています。
事務所の特徴としては、クライアントごとに担当者を置くのではなく分業制をとっています。資料回収、入力業務、決算対応など、それぞれ別の職員が対応しており、私はすべての顧問先の情報やトピックスを集約する役割を担っています。
片山さん:日本M&Aセンターとの取り組みは、2024年3月に私が所長の山地 圭二先生を訪問させていただいたことが始まりでした。
塩野さん:そうでしたね。そのアポイントの後、日を改めて私を含む職員3名に向けて勉強会を開いてもらいました。はじめは「胡散臭い営業マンが来たぞ」と思いましたよ(笑)会計業界に身を置いていてもM&Aは自分たちには関係のない領域だと思い込んでいましたし、ましてや少しネガティブなイメージも持っていたんです。
ですが、勉強会で片山さんの話を聞くうちにM&Aへのイメージは180度変わりましたね。今後、特に地方においては事業承継ニーズがさらに高まる中で、M&Aが社会的にもスタンダードな選択肢になっていくだろうと。直感的に、これは私たちの顧問先にもしっかり伝えていくべき情報だと思いました。
片山さん:実際にそこから1ヵ月もたたないうちに、顧問先をご紹介いただきましたよね。
塩野さん:はい。勉強会後に早速、リストを見ながらニーズがありそうな顧問先を洗い出していきました。先に述べたように私は事務所の中で情報が集まるポジションにいますし、顧問先の社長のお人柄や家族構成なども含めて状況を存じ上げているので、勘が働きやすいんですよね。まずは数社をピックアップし、優先順位をつけてM&Aの話をしてみることにしました。
片山さん:実際にM&Aの話をされてみて、どんな反応が多かったですか?
塩野さん:もちろんこれまで全くM&Aの話をしてこなかったのですが、いざ話をしてみるととても反応が良く、私自身も驚きました。会社を経営していれば事業承継について考えたことのない方はいないでしょうし、仲介会社からのDMが届いていて興味はあるものの、どこに相談すればよいのかわからなかったというケースもありました。
片山さん:顧問先にM&Aの話をすることへの抵抗はなかったですか?
塩野さん:それは全くなくて、むしろ新しい「鉄板ネタ」ができたぐらいに捉えていました!話をするといってもかしこまった感じではなく、あくまで情報提供の一つとして「そういえばうちの事務所にこないだ日本M&Aセンターの人が来たんやけどね、話を聞いてみたらこれは社長に言うべきやと思ったんですよ!」と。
顧問先にM&Aの話をすることが失礼に当たるのではないかという心理も理解できるのですが、そこはあまり気にしないようにしていました。それに、情報提供をしたところで必要かどうかを判断するのは相手ですから、こちらが「あの社長にはお子様もいるし、M&Aは関係ないだろう」と決めつけて話をしないのはもったいないじゃないですか。事務所職員として顧問先には幅広く経営のヒントとなるような情報提供をしたいと思っているので、最近は初対面の社長にもM&Aの話をしてみることもあります。
片山さん:その結果として、M&Aに取り組み始めてからわずか8カ月で受託4件、成約1件という驚異的なスピードで成果を出されています。2025年1月に開催した日本M&A協会中四国支部総会にて、2024年MVPとして表彰させていただきました。
塩野さん:身に余る賞をいただけたのは片山さんをはじめ周りの皆さまのお力添えあってのことだと思っています。取り組みを始めた最初の年なので潜在的なニーズをうまく発掘できただけで、こんな偶然は続かないとは思っていますが、顧問先にM&Aの話をしてみて手ごたえは感じているので今後も事務所として注力していきたいと考えています。
片山さん:「M&Aの相談ができる会計事務所」というのは他事務所との差別化やブランディングにもつながりますよね。他県の事務所で、HPに情報を掲載したことで顧問外からも新規の相談がくるようになったと伺ったこともあります。
塩野さん:そういう事務所に進化していければ、未来も広がりますね!今回、日本M&Aセンターとうまく連携できたことで事務所として新規にM&Aの担当者を採用することなく、顧問先に提供できる選択肢が増えたのが私たちにとって一番嬉しいことだと感じています。
私自身は実務をしていない分、事務所で何か新しい取り組みを始める際に先陣を切る役割を担っています。M&Aに関してもある程度やってみて「エッセンス」が見えてきた段階で、各ラインにいる職員にM&Aの考え方やポイントを共有し、事務所全体にM&Aに取り組む意識を広げていきました。こうした新しいことに取り組みやすい体制があるのは、実は事務所の大きな強みなのかもしれませんね。
片山さん:実際にM&Aに取り組まれた中での心境の変化や、日本M&Aセンターへの印象があれば教えていただけますか。
塩野さん:1件成約した案件が赤字債務超過だったのですが、M&Aによって活路を見いだすことができて。私たちの既存のソリューションでは解決できなかったであろう問題でしたので、M&Aという選択肢の可能性を感じました。
案件を進めるうえでは、片山さんがすべての領域をカバーするのではなく、必要に応じて迅速に専門部署と連携をとってくれて、しっかり組織としてご対応いただいている印象を受けます。今は進行中の案件もあり、片山さんとは毎日電話するぐらい密にコミュニケーションをとらせてもらっていますし、香川にも頻繁に足を運んでいただいていますよね。土曜日はA社、日曜日はB社に訪問するような週末もありましたね。
片山さん:塩野さんのフットワークにいつも助けられています(笑)顧問先の皆様は塩野さんに心を開いて本音を話していらっしゃることが分かります。塩野さんもM&Aを深いところまで理解されていて、私たちとは違う視点・立場からその必要性を説いていただけるので、私たちとのワンチームとしてより説得力が増すように感じます。
塩野さん:中小企業のM&Aは相性が重視されるといいますし、合理的な理由だけでは成立しない難しさがあるのだと思います。その間に立って様々な調整をするM&Aコンサルタントは、AIにはできないであろう人間味あふれる仕事で、私たちもその姿勢から多くを学ばせてもらっています。
片山さん:最後に今後の展望について教えていただけますか。
塩野さん:M&Aは顧問先の経営課題を解決するための一手になることは間違いありません。M&Aという選択肢を顧問先に提案できるようになったことは、私たちの事務所が「新しい武器」を手に入れた感覚です。この1年の取り組みを通じて、日本M&Aセンターなら安心してお任せできるとわかったので、引き続きM&Aのニーズがありそうな顧問先には積極的にお声がけをしていきたいと思っています。
片山さん:ありがとうございます。私も香川県の高校出身でかなり思い入れの強い地域なので、M&Aコンサルタントの立場から地域のお役に立てればと思っています。当社としても、香川県企業のM&A成約件数はまだまだ少ないので、私が香川県で一番実績を積んでいるコンサルタントを目指したいと思います。そのためには塩野さんをはじめ、共同会計事務所の皆様のお力添えが欠かせません。これからも一緒に香川県を盛り上げていきましょう!
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