左から、菱田ベーカリー 菱田仁 代表取締役社長、こむぎの 堀江貴文 経営戦略顧問、こむぎの 笹山直人 代表取締役社長
幡多のソウルフードとして親しまれている「羊羹パン」を手掛ける高知県宿毛市の「菱田ベーカリー」と、全国に約100店舗を展開するベーカリー“小麦の奴隷”を運営する「こむぎの」の資本業務提携を発表するお披露目会が2024年2月中旬に、日本M&Aセンター東京本社で開催されました。
こむぎので経営戦略顧問を務める実業家の堀江貴文さんは「地方では人口減少で焼きたてのパンが食べられなくなるかも知れない。そうした社会課題を解決して、地方のベーカリービジネスを考えていきたい」と話しました。
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創業70年超の菱田ベーカリーは高知県西部の宿毛市のベーカリーで、高知県内のスーパーやコンビニ等に約30種類のパンを販売し、昭和レトロを感じさせる「懐かしい味」で根強い人気を誇ります。あんパンの表面に羊羹をコーティングした「羊羹パン」は、宿毛市民の「思い出の味」としてメディア等でも紹介されるソウルフードです。
地方の人口減少による人材確保は年々難しくなってきています。菱田ベーカリーの菱田仁代表は「高知で72年間、手探りで営業してきた。人口が減少してきて県外に売り込んでいきたかったが、営業の人材の雇用も難しかった。今回、ご縁があり新しいパートナーと組んで会社を発展させていきたい」と資本業務提携の背景を説明しました。
パンによる地方創生を掲げるこむぎのは、北海道十勝の大樹町発祥のベーカリーブランド「小麦の奴隷」を展開しています。最新の製造工場から冷凍生地を店舗に直送し、未経験者でも店舗運営が可能で、「ザックザクカレーパン」に代表される高い商品企画力とマーケティング力を強みに、フランチャイズも含めてわずか数年で約100舗を運営しています。
自社として初めてとなるM&Aについて、こむぎの代表取締役の笹山直人社長は「70年を超える歴史ある魅力的な商品を有する菱田ベーカリーに、われわれのマーケティング能力や飲食・食品領域のノウハウとリソースを使って、さらに発展させていきたい」と語りました。今後も積極的に全国の中小企業とM&Aを進めて、グループを広げていく方向性を打ち出しています。
堀江貴文さん
「地方は人材不足が深刻になっている。若者がいない街、働き手がいない街でパンを作っていくことが非常に難しくなってきている。専門学校で勉強して、地元に戻ってパン屋を開いても人口が減少しているなかで売上を上げるのも難しい。これからパン屋さんがもっとなくなっていき、このままだと工場から配送される袋パンだけの世界になってしまうと私は予想している。地方では焼きたてのパンが食べられない時代がもうすぐ来るかもしれない。この社会課題を解決するのが、我々『こむぎの』のモデル。今後も小麦を中心に、全国の会社さんと資本業務提携をしてパワーを付けて、地方にもっと焼きたてパンを供給していきたい」