• Event
  • 日本DX人材センター・藤田さんとツネイシカムテックス・辻田さんが語る、「挑戦」と「キャリア」

日本DX人材センター・藤田さんとツネイシカムテックス・辻田さんが語る、「挑戦」と「キャリア」

日本DX人材センター・藤田さんとツネイシカムテックス・辻田さんが語る、「挑戦」と「キャリア」

DX推進の厚い壁を超え、いかにして難題に挑戦し、成し遂げたのか―――。

3月14日、株式会社セールスフォース・ジャパン(以下セールスフォース・ジャパン)のカスタマーサクセスグループにて、国際女性Day企画として「Trailblazer Womenの奮闘記〜SFUG CUP入賞者対談 - 挑戦と成長の軌跡」と題したトークセッションが開催されました。

ツネイシカムテックス株式会社の辻田寛子さんと、日本M&Aセンターグループで2月に設立された新会社、株式会社日本DX人材センターの代表取締役 藤田舞さんが登壇。Salesforceの推進担当としての挑戦の歴史と今後のキャリアイメージ、女性がもっと活躍するために組織はどのように変わっていくべきか、二人が語った内容の一部をご紹介します。

今回のトークセッションイベントは、セールスフォース・ジャパン カスタマーサクセスグループ のEquality TeamがSalesforceユーザー企業で活躍する推進者(Trailblazer Women)の挑戦と成長の軌跡を紹介し、同じように推進担当として奮闘されている方々への気づきの提供や応援を目的に企画したものです。セールスフォース・ジャパンでは、コアバリューの1つとして「平等(Equality=イクオリティ)」を掲げ、カスタマーサクセスグループの任意のメンバーで組成されたEquality Teamでは、今期は主に「Gender Equality」をテーマに活動しているということです。

本イベントの冒頭ではセールスフォース・ジャパン 専務執行役員 カスタマーサクセス統括本部 統轄本部長 宮田要さんによる挨拶があり、続いて執行役員 同統括本部 プロダクトサクセス本部 本部長 大竹史雄さんによるトークセッションが行われました。

(写真左から)
セールスフォース・ジャパン 執行役員 カスタマーサクセス統括本部 プロダクトサクセス本部 本部長 大竹史雄さん
日本DX人材センター 代表取締役 藤田舞さん
ツネイシカムテックス株式会社 福山環境事業部 受入課(兼)グループ新規事業・SX/GX/DX/BCP推進室 辻田寛子さん

ガラスの天井に行きつく前に自分で諦めてしまう

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:本日は国際女性Dayイベントですが、お二人はSalesforceの活用推進にあたって、「女性だから」苦労したことはあるでしょうか。マイノリティーだと感じることはありますか?

日本DX人材センター 藤田さん:活用推進は大変なことだらけでしたが、女性だから難しいと感じたことは特にありません。ただ、会社全体だと、M&Aコンサルタントには女性が少ない現状はあります。増えてはいるのですが、まだマイノリティーです。スタッフ職も入れると女性の比率は大きく上がりますが、それでも年齢や役職が上がるごとに割合が減っていきます。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:年齢や職種で差が出てくるということですね。上位になるほど女性が活躍しにくくなるのにはどういう要因があるのか、藤田さんのお考えを聞きたいです。

日本DX人材センター 藤田さん:特に日本では、どうしても女性の方がライフイベントの影響を受けやすいと思っています。海外だと、産休・育休に入っても数か月で戻ってくることもあります。育児との両立は大変かもしれませんが、数か月のブランクなら復帰もスムーズなはず。日本ではしっかり制度が充実しているからこそ、1年くらいとるのが普通です。1年休むと、組織が後任を雇ってしまうこともあるし、会社の状況も変わってしまう。頑張ってキャッチアップをしているうちに、2人目の子どもがほしいと思ったりする。これは何も特別なことではないと思いますが、キャリアアップがしにくくなる30代、もがいている女性は多い印象です。

日本DX人材センター 藤田さん

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:日本の出産平均年齢は約30歳です。皆さん30歳のころを思い出していただきたいんですが、一番責任が増えてきて仕事が面白くなってくるタイミングですよね。これは誰が悪いとかではなく、非常に厄介な問題です。
一般的に、「ガラスの天井」という言葉がよくいわれます。組織内で昇進に値する十分な素質や実績を持っている人が、マイノリティーであることを理由に、昇進の対象から漏れてしまう現象のことです。でも今の藤田さんの話を聞いていると、ガラスの天井に行きつく前に、自分で諦めてしまう。見えない鎖に縛られ天井までたどり着けないのかもしれません。この問題に目を向けないといけないかなと思います。
女性リーダーについてお伺いしたいです。我々としても藤田さんのようなリーダーを育成していきたいと思っていますが、リーダーになりたい人は増えてきている印象ですか?

日本DX人材センター 藤田さん:私自身は今、100%仕事に全力投球できる状態だからこそ、今ここにいることができているのかなとは思います。小さい子どもがいる女性は、子ども優先になる人が比較的多いし、子どもを大切にするのは当たり前のことなので、リーダーを志望する女性は30代からどんどん減ってきてしまいますね。

口に出すことで形になっていく
会社がそれを理解してくれ、推進できた

セールスフォース・ジャパン大竹さん:ツネイシカムテックス 辻田さんは、「残業を減らす」ことに取り組まれてきたのがSalesforce活用推進の原点かと思います。誰しも無駄は減らしたいですが、「どうやって減らすかを考え実践するのはマネージャーの仕事では」と思われる方が多いのではないでしょうか。なぜ辻田さんは取り組めたのでしょう。

ツネイシカムテックス 辻田さん:本当に単純で、聞いている皆さんにも申し訳ないくらいなのですが、「自分が楽をしたい」、この気持ちが原動力です。笑 「これはこういう風にできないのか」と、考えを社内で口に出したのがきっかけだったと思います。たまたま口にしたのが私だったのです。口に出すことで形になっていく。会社がそれを理解してくれて、進めることができたのが始まりですね。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:特定のハードスキル、専門スキルによるものというよりは、辻田さんの情熱や使命感によるものかもしれませんね。
辻田さんと藤田さん、お二人ともそれぞれ過去に、SFUG CUP(Salesforce全国活用チャンピオン大会)の決勝大会にそれぞれ登壇されていますね。辻田さんは、登壇されて変化はありましたか。

ツネイシカムテックス 辻田さん:Salesforceには活発なユーザーコミュニティが多数あり、多様な方が活動されていますよね。大会に出てから半年がたちましたが、尋常じゃない人脈の広がり方で、とても楽しいんです。「友達100人できるかな」という歌があったと思いますが、あれは本当だな、と実感しています。笑

 日本DX人材センター 藤田さん:発表の機会によって、なんとなくやってきたことをじっくりと振り返ってまとめることができ、すごくいいイベントだなと思いました。「私こんなことやったんだ」というのは、意外に気づいていない人が多いのではないでしょうか。
それで、日本M&Aセンター社内でもSFUG CUPをまねたイベントを開催しました。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:藤田さんは日本M&Aセンター内でSalesforce活用スキルを認定するオリジナルの社内資格制度をつくられて、大会も企画されたんでしたね。資格制度は大人気だと聞いています。

日本DX人材センター 藤田さん:今では半分以上の社員が資格を取得していて、Salesforce内のデータを活用し、機能を使って自分で業務を改善することを、現場が主体でできるようになりました。去年5月に日本M&Aセンター版のSFUG CUPを開催し、全社員の1/3の300人が視聴するなど大いに盛り上がりました。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:素晴らしいですね。この制度や企画の話を伺うだけで時間がいっぱいになってしまいそうですが、お二人は、今後もっと活躍する女性が増えるために、職場環境、制度、自社だけでなく社会全体でどんな改革・仕組みづくりが必要だと思われるでしょうか。お二人の意見をお聞きしたいです。

ツネイシカムテックス 辻田さん:ツネイシカムテックスは広島県福山市の産業廃棄物処理会社ですが、この業界で女性が活躍するイメージがないのは、私もひしひしと感じています。私は社内で一人兼任アドミン(推進担当者)として廃棄物管理システムを開発・管理・運用しており、これからは一緒にSalesforceを触れる人を育てなければならないなと。
同業他社さんにも知見を還元したく、交流を積極的に行っていますが、「女性が活躍する場としてアドミンを育てたい」というニーズも聞きます。アドミンはもともと女性が多いイメージがあります。縁の下の力持ち的存在として会社を支えるけれど、やっていることは最先端なんですよ。最先端の業務に興味を持ってもらい、会社の隠れたところを支え、活躍する女性を育てたいと思っています。

ツネイシカムテックス 辻田さん

スキルアップで自信をつけ、次のキャリアに備える

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:先輩の背中が見えるとイメージが沸き、やりやすいですよね。そのためにはやはり、辻田さんのような核となる人材が必要です。この核となる、”引っ張っていく人材”をどう育成するのかが難しいところです。

日本DX人材センター 藤田さん:日本M&Aセンター版のSFUG CUPでは、決勝進出者5名のうち3名が女性でした。女性だと活躍できないということは全くないと思っていますが、活躍する場が限られている人はいるかもしれません。
本当に男女平等であれば、育休だって半々でとるべきですが、現実には、育児の負担をほぼ女性が担っているケースがほとんどです。それ自体は悪いことではないと思うんです。子どもといる時間を大事にしたい気持ちも当然理解できます。
それよりも、育児等の個別の事情により、思うように時間が取れない期間に、「キャリアアップ」ではなく「スキルアップ」をすることが重要なのではないでしょうか。その期間を、いかに次のキャリアに繋げるための時間にできるか。このような人材のスキルアップを支援するため、日本DX人材センターという新会社を設立しました。たとえば子育てが一段落した後にキャリアアップする、もう一回チャレンジするための土台を作る、スキルアップ支援を通じてそういう応援もできるんじゃないかなと思っています。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん:お話を伺っていると、いろんな課題が出てきましたね。たとえば育休ってすごくいい制度なのに、それがキャリア形成を阻害している要素もあるのですね。そういう発想は今までなかったですね。新たな視点をありがとうございます。それではここから質問を受け付けます。

セールスフォース・ジャパン 大竹さん

質問者:メンバーが12人います。ここ2~3年、性別や国籍、バックグラウンドなどの多様性を意識して採用しており、チームには女性も3割程度います。女性の成長を支援するうえで、やらないほうがいいことがあったら教えてください。

ツネイシカムテックス 辻田さん:ちょっと悩んでいる女性がいるとした場合、もしかしたら男性が根掘り葉掘り聞かない方がいいかもしれないです。私は平気なんですけど笑、ちょっと上の女性が話を聞いてあげられるような体制づくりができたらよいのでは。受け入れてくれそうな方をつないであげたり、近くに相談役がいたりするといいなと思います。
いろいろ立場もあると思いますが、放任しすぎても根掘り葉掘り聞きすぎても、嫌がられる場合は多いのでは。

日本DX人材センター 藤田さん:あんまり気を遣わなくても基本的には大丈夫だと思いますが、全員が活躍してリーダーになりたいわけではないことは念頭に置いた方がいいかもしれません。特に男性主体の会社だと、皆が活躍してみんなで上を目指そうぜという文化・風土が強い気がしていて。
とはいえ、女性側も一生絶対にリーダーになりたくないわけではなく、人生には「タイミング」があります。だからこそ部下から一度「リーダーになりたくない」と言われても、ずっとなりたくないんだと決めつけず、タイミングがあることを理解し、根気強くコミュニケーションをとり続けることが重要だと思います。

質問者:キャリアアップよりスキルアップにフォーカスする時期があるとのお話でしたが、子育てが落ち着いたら、とは何歳くらいのイメージでしょう?

ツネイシカムテックス 辻田さん:経験者の立場として申し上げると、子育ては終わりません、息子はもう大人なんですが、終わってはいないと思います。笑 
ただ、今は時間が余るほどありますね。そういうときに自分が何をするか。勉強には注力していて、認定アドミニストレーターの資格をようやくとりました。アドミン同士のユーザー会に参加をすると、知らないことが多すぎて悲しくなって帰ってくることもあるので、勉強しないといけないですよね。
あとは個別の活用自慢大会と称して、同業者さんに弊社のプラットフォームをほぼお見せしているんですが、同業者さんから「やりたいことがここにある!」と言っていただけるのは嬉しいです。じゃあ自分はどうするのか、とも考えていて、私自身も「やりたいことがここにある!」と思えるような環境を探しています。

質問者:藤田さんのお話にあったスキルアップは、どのようなことをしたらいいでしょうか。

日本DX人材センター 藤田さん:スキルアップの意味では、Salesforceはとても良いプラットフォームで活用させていただいています。弊社の社内資格の上級コースはSalesforceの認定アドミニストレーターレベルですが、受講者は本来の業務の合間を縫っての勉強を2カ月くらいやって、だいたいみんな取得できています。どんなスキルを身につけるべきかは人によって変わると思いますが、いろいろなスキルを身につけていくと自信になります。自信をつけて、部署の中で輝き始めることが多々あります。当社内だけでなく、世の中にそういう人を増やしたいと思っています。

セールスフォース・ジャパン カスタマーサクセスグループ Equality Teamの皆様、ありがとうございました
Salesforce Tower最上階の「‘Ohana Floor」には和室も。 従業員や来客が無料で利用できるカフェが充実しています