
2016年12月に日本M&Aセンターに入社し、現在は会計事務所提携部 中部エリアの部長を務めながら、約45名が在籍する中部支社の支社長も兼任する伊藤 泰之さん。社会人当初は仕事に明確な理想を持っていなかったという伊藤さんが営業の面白さに気づいたきっかけと、簡単には正解が出ないM&Aという仕事に携わり続ける理由を聞きました。
※所属・肩書等は取材当時。
―ご自身の原点だと思う、育った環境や幼少期の経験はありますか。
私は決して裕福とは言えない家庭で育ちました。外食は年に一回あるかないかで、母はお金がない中でも必死に子育てをしてくれていたと思います。印象に残っているのは、年に一度の外食のとき、母が事前におにぎりを食べてから店に行き、「お母さんはもうお腹いっぱいだから」と言って、私たち子どもだけに食事をさせていたことです。その経験から、「子どもがやりたいと言ったことを、経済的な理由で諦めさせたくない」という思いが強くあります。お金がすべてではありませんが、一定の豊かさがないと選択肢は狭まってしまいます。その現実を知っているからこそ、今も家族のために頑張ろうと思えます。
―幼少期から変化したことはありますか。
人前で話すことや外に発信する姿勢は変わったと思います。昔はかなり引っ込み思案で、人の前に立つこともなく、休日も外に出たくないインドアな性格でした。ただ、日本M&Aセンターに入社し、M&Aコンサルタントの仕事をするうちに、人と向き合い自分の考えを伝えることができるようになりました。
一方で変わらないのは、負けず嫌いなところと目標への執着心です。結果が出ない状態が許せない。この性格は子どもの頃からずっと同じですね(笑)。

―ご自身に向いていること、向いていないことについてどのように捉えていますか。
私は学生時代から中心に立って皆を引っ張るリーダータイプではありません。どちらかというと2番手、3番手として全体を見ながら動く役割のほうが性に合っていたと思いますが、部活動を通じて培った「場をまとめる力」や「人を巻き込む力」は、この仕事にも活きていると感じています。前に立って指示を出すというより、雰囲気や流れを見ながら、必要なところで声をかけ、周囲を巻き込んでいく。その感覚は、今の仕事にもそのまま生きています。
支社長という立場になった今も、基本的なスタンスは変わりません。M&Aという厳しい仕事だからこそ、チームとして成果を出すために、一体感をつくることを大切にしています。その反面、締めるべきところはきちんと締める。ダメなものはダメだと明確に伝える。その姿勢を一貫して持つことで、チームが安心して前に進める環境をつくりたいと考えています。
―社会に出てから、仕事に対する価値観はどう変わりましたか。
社会人になった当初は、仕事に対して明確な理想はありませんでした。学生時代は強いビジョンを持っていたわけではなく、どちらかというと「日々を楽しめればいい」くらいの感覚でした。「社会に出て働く」ということ自体が、まだ実感を伴って捉えられていなかったのかもしれません。
価値観が大きく変わったのは、最初の職場で営業の現場に出たときでした。お客様に感謝され、成果が評価される中で、「人と向き合い、価値を提供する仕事はこんなに面白いんだ」と感じるようになりました。そこから仕事が単なる生活の手段ではなく、自分自身が成長し、誰かの役に立つための場へと変わりました。成長欲求も一気に強まり、より高いレベルの営業、より難易度の高い仕事に挑戦したいと考えるようになりました。
―伊藤さんは日本M&Aセンターが4社目ですね。
はい。これまでのキャリアで得た経験はすべて、今の仕事につながっています。最初に勤めた信用組合では、営業の基礎を学びました。お客様と向き合い、関係性を築く中で、仕事の面白さを実感する原点となりました。次に勤めた大手証券会社では、徹底した成果主義の環境の中で、営業としての厳しさとレベルの高さを経験しました。飛び込み営業を含め、行動量と数字への強い意識が培われ、自身の基準が大きく引き上げられました。3社目の外資系企業では、個人の成果だけでなく、マネジメントやプレゼンテーションなど、組織として成果を出すための考え方を学びました。人を動かし、チームで結果を出す視点は、現在にも強く生きています。
―日本M&Aセンターを選んだ理由と、入社後に直面した壁を教えてください。
最初から日本M&Aセンターを志望していたわけではありませんでした。M&Aは未知の領域でしたし、正直な印象は「よく分からない会社」でした。ただ調べていく中で、“企業と経営者の人生に深く関わる仕事”であることを知りました。「会社を続けたい、誰かに託したい、従業員を守りたい」そういう経営者の想いに真正面から向き合う仕事だと分かったとき、これまで自分が営業で大事にしてきた価値観と、すごく重なったんです。
入社後は成果がなかなか出ず、想像以上に厳しかったです。最初の成果が出るまで9カ月かかりました。自信を失い、妻にも弱音を吐いた時期があります。ただ、負けず嫌いな性格と、子どもが4歳・2歳のタイミングでの転職だったこともあり、「ここで折れたら終わりだ」という思いで踏みとどまりました。妻は多くを言わず支えてくれました。

―M&Aコンサルタントの仕事を続けている理由を教えてください。
仕事を続ける理由は「自己成長」と「お客様への貢献」です。お客様に感謝の言葉を求めるというより、感謝されるような仕事をしたい。本音でお客様と向き合い、納得した意思決定を支える。それができた瞬間に最もやりがいを感じます。M&Aコンサルタントの仕事は、簡単に正解が出ません。だからこそ、自分の考えや覚悟が常に問われ、成長を実感できるんです。成長を追い求める姿勢は定年まで変わらないと思います(笑)。
プロフィール
日本M&Aセンター 中部支社長 兼 会計事務所提携部 中部エリア部長
伊藤 泰之(いとう・やすゆき)
外資系企業に勤務後、2016年12月日本M&Aセンターへ入社。これまで50件以上の中小企業のM&Aに携わる。入社以来会計事務所と連携し、東海地域のM&A活性化に向け日々尽力している。2021年度はコンサルタントとして日本M&Aセンター最多M&A成約件数を受賞。2022年4月より部長職、そして2024年4月より中部支社長を務める。




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