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M&Aキャリア34年!業界随一のベテランに聞いた「M&A仲介の仕事」

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M&Aキャリア34年!業界随一のベテランに聞いた「M&A仲介の仕事」

TPM事業部 上場推進部 部長 臼井 智さん


シリーズ「レジェンドに聞く」 今回は入社15年、M&Aキャリア34年の大ベテラン TPM事業部 上場推進部 部長の臼井 智さんに入社のきっかけや34年の経験から得た学びについて聞きました。

(肩書きは2024年1月時点)

山一證券自主廃業を経験後も、M&Aキャリアを継続

―日本M&Aセンターに入社されるまでのことを教えてください。

1991年に山一證券に入社し、M&Aの部署に配属されました。当社設立のタイミングと同じですね。そのため、M&Aのキャリアは34年目です。山一證券は1997年に自主廃業しましたが、山一證券のM&Aチームは、当時日本でも先駆的に動いていたM&Aチームだったので、他社からも必要とされ、約30名のチームほぼ全員で日興証券(現:SMBC日興証券)に移りました。日興証券でもM&A業務を続けますが、その後日興証券は、米系のシティグループにより買収され日興コーディアル証券となりました。親会社であったシティグループは、当時世界で一番大きな金融機関だったものの、リーマン・ショックで破綻の危機となりました。全世界での人員削減プログラムに伴い日興でも開始された早期退職制度を利用し、2009年1月に日本M&Aセンターに転職しました。

―入社されたときのお気持ちはいかがでしたか。

証券会社時代は、上場企業や大手企業を中心にM&Aを数多く行っていました。しかし、日本M&Aセンターは中小企業の事業承継案件が中心でした。戦うフィールドは違うと感じましたが、M&A業務のキャリアは長く最前線でやってきたので仕事そのものへの不安はありませんでした。新しい組織に移るので、わくわくしていましたね!
私が入社した当時は従業員が100名に満たない規模でしたが、今はグループで1,000名を超え本当にびっくりしています。会社が成長していることを実感しますね。
M&Aがまだ認知されていなかった時代は、M&Aに対してネガティブなイメージがあり、営業活動も大変でした。でもそれ以上にこのの仕事が面白くて続けてきました。M&Aは、世の中にあるさまざまなビジネスを知ることができます。そういう意味で、世の中にあるビジネスの中で一番面白いのがM&Aだと思っています。未だに飽きることがありません。

数多くの譲渡案件を持つ日本M&AセンターのM&Aビジネスモデルとは異なり、証券会社のM&Aは自分で案件を作りに行くスタイルです。相手に提案を行い説得する必要があるので、自分の考えを持ち、ストーリーやシナリオを作ります。そうしておくと、お客様にも一貫性を持って話すことができます。

ミッドキャップ戦略を考える中で出会った、「東京プロマーケット」

―途中で部署を異動されていますが、どのような経緯で異動されたのでしょうか。

最初は企業戦略部での上場企業を担当する部門の立ち上げに携わりました。その後、ミッドキャップ(売上数十~数百億円の中堅企業)戦略を約1年担当した後、今のTOKYO PRO Market(TPM)事業部に来ました。

企業戦略部の時はあまり成果が出なかったということが大きいです。新しいことにも挑戦しましたが、上場企業の案件は大量生産できませんでした。ワンショットでエポックとなるような大きな案件をしたりもしますが、継続的に毎年チームを持って稼ぐというのはなかなか難しかったです。

その後、ミッドキャップ案件を担当する部署に異動しましたが、そのとき、さまざまな取り組みをする中で東京プロマーケットを知りました。当社はこれまで中小企業の事業承継相続でマーケットを作り、M&Aを認知させてきました。今度はこれを中小企業から中堅企業に範囲を広めようということで、ターゲットを中堅企業にした取り組みを開始したのです。しかし、中堅企業には単純な事業承継のテーマで提案しても刺さりません。中小企業は経営者が100%オーナーであるケースが多いですが、中堅企業になると株主が分散していたり非同族の後継者を確保していたりと、経営課題が中小企業とは大きく異なります。そこで中堅企業には単純な事業承継型M&Aを提案するのではなく、成長戦略で切り込むことにしました。

成長戦略には、オーガニックの成長戦略とレバレッジの成長戦略の2パターンがあります。会社自身が組織力をつけ成長していくのがオーガニック成長戦略、他社とのアライアンスやM&Aを活用するのがレバレッジ成長戦略ですね。このうちレバレッジ成長戦略のサポートは当社の得意分野です。しかし、オーガニック成長戦略のサポートというのは当社のビジネスとは大きく異なっていました。「会社の組織を強くする」とか、「ビジネスモデルを変えていく」というのは、口では言えても当社にはそのノウハウが少なくなかなか実践できませんし、サポート体制もありません。そこで出会ったのが東京プロマーケットでした。

証券会社時代にも、グリーンシート市場をはじめとした新しい株式市場ができては消えていくというものをよく見ていたので、東京プロマーケットもそのような市場の一つと捉えていました。
しかし、東京プロマーケットは、外部株主を増やさず株式流通を前提としないというようなこれまでのどの株式市場とも違う全く新しい驚くべき制度設計でした。
東京プロマーケットは東京証券取引所が運営する市場ですので、上場すれば「東証上場会社」になることができます。東京プロマーケットには、売上高や利益水準、成長率や時価総額など上場するための数値基準も一切ありません。労働人口の減少に伴い多くの日本の中堅企業が人材採用に困っている今、上場会社になることで人材採用しやすくなります。金融機関等からの信用力は向上し資金調達が有利になりますし、経営者の債務連帯保証も外すことができます。また、上場するために必要なガバナンス体制強化や組織構築はまさにオーガニック成長戦略の実行そのものです。更には上場会社になればM&Aの実行も有利になります。
つまり東京プロマーケット上場は、中堅企業の成長戦略の実行には最適な手段といえますし、当社のミッドキャップ戦略にもぴったりフィットしました。そのため、当社は東京証券取引所から認定を受け、2019年にJアドバイザーの資格を取得し東京プロマーケット市場に進出したのです。

―活躍のフィールドを変えることに迷いはありませんでしたか。

異動等に際して、悩んだことはあまりありません。東京プロマーケットは当社が参入した当時、約20社しか上場会社がありませんでしたが、今は100社に迫る上場社数となり、マーケットは急速に拡大することができています。手探りでさまざまな方法を考えながら、マーケットを作る“創業期”に立ち会えていることが非常に面白いです。

案件提案の前に信頼関係を築く雑談力や、人間関係をつくるステージが必要

―仕事のやりがいや魅力を教えてください。

それぞれのM&A案件には必ずテーマがあり、始まりと終わりがあります。そういったプロジェクトが好きなんです。始まりがあって終わりがあるというのを繰り返す中で、目利き力が上がったり、提案力がついたりして、案件1件1件を重ねるごとに学びややりがいを感じます。また、プロジェクトが終わって顧客から感謝されて、かつ大きなフィーをもらう仕事でもあります。自分が担当した案件が新聞などの媒体に取り上げられ多くの人に知られる、こんな面白い仕事はないですね。

―若手社員の印象はいかがですか。

総じて優秀な方が多い印象です。ただ、お客様は個別のM&A案件の紹介への期待はもちろん持っているものの、それ以外の話にも期待しています。M&Aマーケットの状況や法律会計の話、世の中で起こったM&Aの事例の背景などをお話しすることで、この人だったら話を聞いても大丈夫だと思っていただき、信頼関係を築いた上で、案件を提案することが大事です。雑談力や人間関係をつくるためのステージが必要ですね。

―これからM&A仲介への転職を考えている人に向けてメッセージをお願いします。

M&Aは世の中で一番面白くてやりがいのある仕事なので、一生懸命やるといいことがあると伝えたいです。けれど一生懸命やるためには前提条件がいくつかあり、①きちんと広く深く知識をつけること、②人間対応力をつけること、③世の中の動きを知ることが大切です。私は以前からずっと行っていますが、世の中で起こるM&A案件のプレスリリースに目を通すことをおすすめします。プレスリリースに掲載されるさまざまな情報や企業の概要から、案件の背景にある個別企業の状況、M&Aの目的・事情、スキームや条件の決定理由などを深掘りして想像する訓練をするととても良いです。提案力もつきますしすごく実力がつきます。話のネタも自分の引き出しに入り、雑談力もつきます。

またM&Aの業務は、企業や世の中のこと、財務、あるいは法律、契約書などの知識が必要です。M&Aはスペシャリストですが、ジェネラリストのようなものでもあると思います。M&Aはそういったトレーニングができるビジネスです。当社ではあれば教育体制も整っていますので安心して挑戦できると思います。

―今後の目標を教えてください。

東京プロマーケットで、当社が圧倒的トップになることです。昨年東京プロマーケットで、一番多くの上場会社を出しておりますが、それをはるかに超えるトップシェア6割くらいの圧倒的な実績を築きたいです。

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プロフィール
日本M&Aセンター TPM事業部 上場推進部 部長 臼井 智(うすい・さとし)
1965年生まれ。広島県出身。東京理科大学工学部機械工学科卒。
1991年山一證券入社後、M&A部署での勤務を経て、1998年日興証券(現:SMBC日興証券)に入社。その後、2009年1月に日本M&Aセンターに入社。
趣味はゴルフ。

パーパス
プロフェッショナルであり続ける



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