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早稲田大学「起業家養成講座I」が4年目に突入

早稲田大学「起業家養成講座I」が4年目に突入

日本M&Aセンターホールディングスは、早稲田大学商学部にて寄附講座「起業家養成講座I」を開講しており、今年で4年目を迎えました。全14回にわたり実施する講義では、日本M&Aセンターグループ各社の代表やM&A業務に関わる公認会計士、弁護士、税理士などの専門家も講師を務めるほか、ビジネスプラン発表会も行われます。今年は、中小企業庁 事業環境部 財務課 田尻 雄裕課長補佐にも登壇いただきました。


起業家に必要な能力を身につける

早稲田大学商学部の「起業家養成講座」は、2005年度「ベンチャー起業家養成基礎講座」をルーツとし、今年度で19年目を迎えていて、社会で活躍している起業家を多数輩出しています。これからの日本経済を担う学生が、起業家(アントレプレナー)に必要な企画力、構想力、ロジカルシンキング、プレゼンテーションの能力を身に付けるとともに、起業家・経営者の体験談をもとに企業経営の本質やリーダーシップ、起業家精神を学ぶことを目的としています。

日本M&Aセンターホールディングスは、2021年春から寄附講座「起業家養成講座I」を開講していて、学生の起業家精神の醸成を図り、チャレンジ精神にあふれたスタートアップ企業を支援することで、日本経済のさらなる発展に貢献していく考えです。

全14回の講義では、日本M&Aセンターグループ各社の代表やM&A業務に関わる公認会計士、弁護士、税理士などの専門家も講師を務めるほか、ビジネスプラン発表会も行われます。今年はゲストとして、中小企業庁 事業環境部 財務課 田尻 雄裕課長補佐にも登壇いただきました。

自らの経験を学生たちに語る三宅社長

目標を持ち、社会への問題意識があるならば起業すべし

「成功するビジネスの創り方」をテーマに講演した日本M&Aセンターホールディングス三宅卓社長は、「起業には第一に社会課題意識を持ち、そこから社会的ニーズの分析と社会課題の掘り起こしによる解決策をビジネスにすることが重要である」と語り、地域格差という社会的な問題を解決した企業として、インターネット通販ビジネスを展開するAmazonなどを例に挙げました。

またビジネスを成功させる4つの秘訣として、「ビジョン構築力実現力」「コミュニケーション」「魅力的な報酬」の重要性に触れ、特に重要な「ビジョン構築」については、年に一回の経営方針発表会や毎月の全社員会議の中で、全社員へのプレゼンのために入念な準備をして臨み自社の明確なビジョンを掲げていることを紹介しました。各施策を実施する背景や理由、効果等についても言及し、「実現力」には強いリーダーシップが必要なこと、それを得るために必要な要素についても解説しました。

日本M&AセンターHDが立ち向かう2つの社会課題

中小企業庁が発表した資料によると、全国で社長年齢が70歳以上の中小企業のうち後継者不在の企業は127万社あり、その約半数の60万社に黒字廃業の可能性があるとされています。また内閣府が発表したデータによると、日本は生産人口の減少に伴うGDP(国の豊かさ)の縮小が懸念されています。日本M&AセンターHDはこれらの社会課題に対し「中小企業の存続により雇用を守ること」、「生産性の向上により中堅企業の発展に寄与すること」を目的としてM&A支援事業を続けてきました。三宅社長は「『M&A業務を通じて企業の存続と発展に貢献する』という明確なビジョンを掲げ、それを着実に実現していくことで、共感・協調してくれる人々に支えられ、業界のリーディングカンパニーに成長できた」とこれまでの経緯を語りました。

最後に、起業を目指す学生たちに、「社会課題を見つけ、その解決のためにビジネスを構築し、行動に移すことでより大きな世界観を持つことができる。それが結果、豊かな人生につながり、より良い仲間が集ってくるでしょう。未来に対する夢をどれだけ膨らませられるかがポイント。勇気をもって第一歩を踏み出してください」とエールを贈りました。講義終了後も質問希望者が列を成し、学生の関心の高さがうかがえました。

(左)講義を行う日本M&Aセンター 経営企画部 経営企画課長 横山逸郎さん

実態経済・金融経済の両面から見たM&A、成長戦略としてのM&A

4年目の今回の講座では、初めて行政と共同での講義も開講。日本M&Aセンターグループ新年研修でも登壇いただいた経済産業省 中小企業庁 財務課の田尻 雄裕課長補佐と、日本M&Aセンター 経営企画課長の横山 逸郎さんが「行政、金融から見た中小企業のM&A」をテーマに講義を行いました。

横山さんは、日本銀行のエコノミストであったご自身の経験に基づいて、「経済活動は、実体経済面と金融面の双方から分析することで初めて輪郭が見えてくる。中小M&Aの重要性も同様」と力説。各種統計や地方金融機関のバランスシートの変化といったファクトデータを用いて、生産年齢人口の減少という国家課題が、とりわけ地方経済に対していかに大きな影響を及ぼしているかをエピソードを交えながら説明し、「地方創生」の重要性を伝えました。

また、中小M&Aの歴史を紐解いた上で、事業承継の手段としてのM&Aのほかに、「成長戦略としてのM&A」の重要性が上昇している点にも言及。起業家志望の学生たちに対して、自社の業績を加速度的に成長させる手段としてのM&Aが、重要な選択肢としてプレゼンスを増している現状について説明するべく、実際の買収・売却事例やM&Aの効果を示したエビデンスデータを紹介しました。
講義中、時折学生を指名して直接質疑を受け意見交換を実施するなど、活気あふれる講義となりました。

経済産業省 中小企業庁 財務課 田尻 雄裕 課長補佐

中小M&Aに関する政策動向を学ぶ

中小企業庁の田尻課長補佐は、M&Aを巡る環境について豊富なデータを用いて講演。「経営者年齢の国際比較」や、「経営者年齢と売上高成長率の関係」を示し、事業承継に期待される効果やそれを実現するM&Aの重要性について明解に説明しました。

また、「事業承継・引継ぎ補助金」や「中小企業事業再編投資損失準備金の拡充及び延長」の効果といった行政によるM&Aの支援制度を紹介し、依頼者の利益保護の観点からの体制整備・ルール作りの重要性を述べました。具体的には、中小企業がM&Aを躊躇する原因として頻繁に挙げられる①知見不足、②手数料の目安が見極めにくい、③M&A支援に対する不信感、という3要因を挙げた上で、これらを払拭すべく2020年に策定した「中小M&Aガイドライン」に込められた思いと、現状存在するリスク事項を網羅的に列挙した上で、これらに対応するための同ガイドラインの改定主旨について説明しました。

また最後には、M&Aを成功に導くために行政が重視している取り組みとして、M&A後に行われる組織や業務の統合作業であるPMI(Post Merger Integration)を挙げ、その効果と有用性についても解説。滅多に聞くことのできない行政担当者からの生の講義に、学生は総じて興味津々で食い入るように聞き入っていました。

7月19日の講座最終日には、ビジネスプラン発表会および表彰式が行われます。
日本M&Aセンターグループは、産学官連携の取り組みを通じ、起業家を目指す学生はもちろん、幅広い学生に「教養としてのM&A」を学ぶ機会を今後も提供していきます。



【寄附講座「起業家養成講座I」概要】
科目名:株式会社日本M&Aセンターホールディングス寄附講座 起業家養成講座I
開講期間:2024年4月12日~2024年7月19日の毎週金曜日、全14回
開講場所:早稲田大学 早稲田キャンパス(東京都新宿区)
対象:オープン科目(全学部生受講可能)
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